GQ誌「韓流は世界を制するのか」
雑誌「GQ JAPAN」といえば大人の男性向けにビジネスやファッションの話題とともに、ライフスタイルを提案する雑誌なのでしょう(一度も手に取って読んだ経験がないのですが)
その「GQ JAPAN」が、「韓流エンターテイメントは世界を制するのか」と題した記事を載せています
かくいう筆者も、「少女時代」の魅力にすっかりアテられ、YouTubeで動画を見まくったおかげで眠れぬ夜は数知れず、「韓流」の力量に遅ればせながら恐れいった次第だが、薄々と感じるのは、この攻勢が必ずしも日本を最終ターゲットにしたものではないはずだという予感だ。
思えば日本が「アジアの盟主」などと威張っていられたのはいつまでだったのだろう。知らぬ間に家電の世界シェアはサムスンにトップの座を奪われ、世界最高を誇った原発の分野において韓国企業を相手に受注を取り逃がした事態も記憶に新しい。韓国プロダクトは、もはや、ぼくらの頭越しに直接世界へと乗り出し着々と販路を広げている。そのとき日本市場は、重要ではあるものの最重要とまではいえない、ひとつの踏み台でしかないのではないか。
話の枕の部分からしてダメダメ感が漂う内容です
基本的な情報も精査せず、聞き齧りの話をさも重要な事実であるかのように並べている記者の情弱ぶりは、かつての週刊プレーボーイの与太記事と大差ないレベルでしょう
「韓流が世界を制する」かどうか以前に、この記事を書いた記者の思い違いを指摘しておきましょう
韓国がアラブ首長国連邦の原子力発電所を受注したのは事実ですが、それは韓国の技術が優秀だったからではなく、「建設資金を韓国側が提供する」とか「60年の稼働を保証する」、「施設警備のため韓国兵を派遣し常駐させる」といった無茶な条件を提示した上での受注です
原子力発電所の耐用期間は60年もありませんので、この条件を飲むなどあり得ない話です(耐用期間がすぎる30年後には新規に原子力発電所を無償で提供しなければならないわけで)
この程度の情報裏付けすら怠る記者が、「韓流はすげえ」と勝手に思い込んで書いた記事にどれだけの信憑性があるかは疑問です
記事の中身は韓国を代表する芸能事務所、S.M.エンタテインメントの社長のインタビューですが、これも突っ込みどころだらけです
「日本語ができないと日本市場では通用しない」とか、「日本の音楽市場はいまだにテレビが中心」といった指摘は日本市場の閉鎖性を強調したいがゆえでしょう。しかし、この指摘は間違いです
日本では地上波テレビ放送に乗る機会の少ない洋楽アーティストのレコード、CDが売れてきた事実があります。当然、日本語以外の言語で歌われた楽曲です
また、テレビ以外にもFM放送という重要な媒体が存在するのに、それを無視してテレビ中心だと言い切るのは不可解です
売り込むための努力、新人育成のための投資は凄まじいと感じますが、その結果とて似たり寄ったりの女性グループ、男性グループをデビューさせていれば、やがて飽きられ見捨てられるのではないかと思うばかりです
Nine Muses TICKET
日本が国内市場に特化して売り込んでいるのに対し、韓国は最初からアジア市場向けに売り出すという違いが際立っているだけのように感じます
韓流エンターティメントが世界を制するのなら、それはそれで結構な話です
日本がそれを羨んだりする必要はなく、韓国を模倣する必要もありません
必ず日本の中にも、「韓国を見習い積極的に海外市場を狙うべきだ」と主張する人が出てくるのでしょう。が、多大なリスクを覚悟してまで海外へ売り込みを図るかどうかはそれぞれの企業の判断次第です
国内の音楽市場が小さいがゆえに海外市場へ売り込まなければ生き残れない韓国と、国内市場でそこそこ利益を挙げられる日本の違いがあるのですから
もちろん国内市場の縮小を前提に、何らかの生き残り策を模索する必要があるのは言うまでもないところです
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