米映画館で銃乱射 70人が死傷
映画「バットマン」の最新作を上映していたアメリカ・コロラド州の映画館に銃で武装した男が乱入し、観客に向け無差別に発砲する事件が発生しました
アメリカ合衆国の西部・コロラド州の都市、オーロラにある映画館にて発生した銃乱射事件である。「バットマン」に登場する悪役「ジョーカー」に影響を受けた20代男性により、バットマンシリーズとして製作された映画「ダークナイト ライジング」上映中に実行された。12人が死亡、負傷者は58人を数えた。
実行犯は当初、館内の座席に座っていたが後部の非常口から一旦退出。ガスマスクをつけ、防弾チョッキとヘルメット、ズボンを着用し、黒の戦闘用の手袋をはめ、拳銃2丁にライフル1丁、ショットガン1丁で武装した上で、開けたままにしておいたドアから再び館内に戻り、上映中だった館内の前方に立ち、催涙ガスを2本投げつけた。ガスが立ちこめる中、映画内の銃撃シーンに併せて持っていた銃で逃げ惑う観客に対して10〜20発の銃乱射を行ったほか、爆発音もあったとされる。持っていた武器はいずれも合法的に入手したものであった。
こうした事件では往々にして犯人は自殺したり、警察に射殺されるのですが、この事件ではジェームズ・E・ホームズ容疑者(24歳)が逮捕されています
頭髪を赤く染め、「自分はジョーカーだ」と、バットマン映画の登場人物になりきっていたかのような発言をしていると報じられています
コロラド大学の大学院の博士課程で神経学を専攻していたホームズ容疑者が、なぜ無差別殺人を行ったのか、これから本人の供述によって明らかになると思われます
人付き合いが苦手なタイプで、就職しようとしたがうまくいかなかったため大学院へ進んだ、と報じているメディアもあります
ともあれ、ホームズ容疑者はライフル、散弾銃、拳銃などの銃器とともに実弾を大量に購入していたわけですから、周到に計画した上で犯行に及んだのでしょう
つまり、できるだけ多くの人を殺害しようと企んでいたのであり、それだけ社会に対する憎悪を内に抱えていたと考えられます
「自分はもっと社会から評価されるべきだ」とか、「自分の才能に見合った職が提供されるべきだ」といった考えに取り憑かれ、ままならない現実に苛立っていたのかもしれません
銃社会のアメリカではさっそく全米ライフル協会が声明を発表し、この事件を口実にした銃規制に反対する、と述べています
「こんな事件が起こるからこそ、市民は銃で武装するべきだ」というのがアメリカ流の考え方です
アメリカ合衆国憲法では市民が銃を所持する権利を定めており、銃規制は憲法違反になります。当然、銃による今回のような犯罪も数多く発生しており、市民は銃を所持する権利とともに多大なリスクも負っているのですが、それでも銃規制への
反発は根強いものがあります
今回の事件の詳細とともに、アメリカの銃規制を巡る議論の行方も注目されるところです
追記:ホームズ被告は、12名の殺人に対し仮釈放なしの終身刑12回、さらに刑期最大48年の第1級殺人未遂が67件、32年の第2級殺人未遂が3件、爆発物所持1件で6年が加算され、傷害致死と自宅の武器による艤装についての加算も含めて、計3318年の拘禁刑の判決を受けています
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