北朝鮮ミサイル失敗 日本政府はなぜ公表に手間取ったのか?
4月13日に北朝鮮は沖縄上空を飛行する軌道に長距離弾道ミサイルを発射したものの、ミサイルは発射直後に軌道を逸脱し爆発したとされます
あれから2ヶ月以上を経過し、ようやく政府が「北朝鮮の弾道ミサイル発射失敗の確認に手間取った理由」についての釈明をまとめたと報道されています(当時の記事が削除されていますので、4月13日の報道を代替引用します)
厳戒態勢解除に住民胸なで下ろす
北朝鮮は13日午前7時39分ごろ、「人工衛星」の打ち上げと称して準備を進めてきた長距離弾道ミサイルを発射した。北朝鮮の朝鮮中央通信は、失敗したと伝えた。上空約120キロまで上昇後に爆発、韓国の黄海上に落下した。日本への影響はなかったが、政府の発表が遅れたため、上空通過が予想された先島諸島の自治体は混乱。地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が配備されている石垣市はミサイル失敗から1時間40分後、事実上の安全宣言を出した。ミサイルは、石垣島など先島諸島上空の通過が予想されたことから、日本政府は、領域内への落下など不測の事態に備え、自衛隊のミサイル防衛(MD)システムによる迎撃態勢をとっていた。
八島地先の埋め立て地、通称新港地区にPAC3が配備された石垣市。急きょ飛び込んできたニュースに役所内は騒然、職員が情報収集に追われた。
「発射された可能性がある」。第1報が入ったのは午前7時50分ごろ。市役所内に詰めていた自衛官2人が総務課で報告。防災服に身を包んだ中山義隆市長らは緊張した面持ちで聞いた。中山市長は8時40分ごろ、危機管理対策本部を招集したが、その時点でも政府の情報は「発射は確認中だが、わが国の領域への影響はないと考えられる」との内容にとどまった。
一方、PAC3配備先の宮古島では午前7時45分ごろ信号弾が打ち上げられ、石垣島ではヘリ2機がローターを回転させ、離陸準備をしているのが確認された。これ以外に変わった動きはなく、現地の広報は「正確な情報の収集に当たった」と話した。
官房長官の発表を受け、市は9時20分ごろ、34カ所の防災無線などで「北朝鮮の『人工衛星』と称するミサイルが発射されましたが、わが国への影響は一切ありません」と情報を伝達。午後1時半すぎ、「ひとまず危機管理体制を緩める」と厳戒態勢を解いた。中山市長は「ミサイル発射については国際社会が強く中止を求める中、実施されたことは非常に遺憾だが、わが国への領土、領海への影響がないことに、ひとまず安心している」とのコメントを発表、「ホッとした」と話した。
自衛隊から市に入った連絡によると、PAC3は17日に撤収、部隊や車両などは23日までに移動を終える予定。
厳戒態勢解除に住民胸なで下ろす
北朝鮮は13日午前7時39分ごろ、「人工衛星」の打ち上げと称して準備を進めてきた長距離弾道ミサイルを発射した。北朝鮮の朝鮮中央通信は、失敗したと伝えた。上空約120キロまで上昇後に爆発、韓国の黄海上に落下した。日本への影響はなかったが、政府の発表が遅れたため、上空通過が予想された先島諸島の自治体は混乱。地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が配備されている石垣市はミサイル失敗から1時間40分後、事実上の安全宣言を出した。ミサイルは、石垣島など先島諸島上空の通過が予想されたことから、日本政府は、領域内への落下など不測の事態に備え、自衛隊のミサイル防衛(MD)システムによる迎撃態勢をとっていた。
八島地先の埋め立て地、通称新港地区にPAC3が配備された石垣市。急きょ飛び込んできたニュースに役所内は騒然、職員が情報収集に追われた。
「発射された可能性がある」。第1報が入ったのは午前7時50分ごろ。市役所内に詰めていた自衛官2人が総務課で報告。防災服に身を包んだ中山義隆市長らは緊張した面持ちで聞いた。中山市長は8時40分ごろ、危機管理対策本部を招集したが、その時点でも政府の情報は「発射は確認中だが、わが国の領域への影響はないと考えられる」との内容にとどまった。
一方、PAC3配備先の宮古島では午前7時45分ごろ信号弾が打ち上げられ、石垣島ではヘリ2機がローターを回転させ、離陸準備をしているのが確認された。これ以外に変わった動きはなく、現地の広報は「正確な情報の収集に当たった」と話した。
官房長官の発表を受け、市は9時20分ごろ、34カ所の防災無線などで「北朝鮮の『人工衛星』と称するミサイルが発射されましたが、わが国への影響は一切ありません」と情報を伝達。午後1時半すぎ、「ひとまず危機管理体制を緩める」と厳戒態勢を解いた。中山市長は「ミサイル発射については国際社会が強く中止を求める中、実施されたことは非常に遺憾だが、わが国への領土、領海への影響がないことに、ひとまず安心している」とのコメントを発表、「ホッとした」と話した。
自衛隊から市に入った連絡によると、PAC3は17日に撤収、部隊や車両などは23日までに移動を終える予定。
(毎日新聞の記事から引用)
記事では、「国民への発射情報の公表が遅れたことについて『情報発信と安心感の提供という観点が十分でなかった』と不手際を認めた」と書かれています
国民が一番知りたかったのは、北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射したかどうかであり、そのミサイルが沖縄上空を飛ぶ軌道に入ったかであり、自衛隊が迎撃して撃ち落としたかどうかの3点だったはずです
日本政府の対応は「国民に何を伝達すべきか」との視点が最初から欠けていたのかもしれません
上記の3点からすれば、もっと早い時点で「北朝鮮によるミサイルの発射が確認された。沖縄上空を飛行する軌道をミサイルは飛行せず、自衛隊も迎撃していない」と公表できたはずです
首相官邸の危機管理センターは自衛隊や米軍に対して情報の確認ばかりを求め、自らは何も判断せず、3時間ほど浪費してしまったようです
ミサイル発射の事実と、日本への直接の脅威はないという2つの事実だけでも、その3時間内に公表できたのではないでしょうか?
ところが官僚の側にすれば、発射されたのが長距離弾道ミサイルなのか、その他のミサイルなのか、予定していた軌道に向けて発射したのか、その他の軌道・目標に向けて発射したのか、その後どうなったのか、確認が取れない限り政府としては公表すべきではないという思考で固まってしまったと思われます
長距離弾道ミサイルにしろ人工衛星打ち上げのロケットにしろ、発射から数分で大気圏まで飛んでいくのですから、モタモタしていては「速報」ができません
しかし、官僚は「いつ、どこで、何を発射し、どこへ向かい、どうなったのか?」を把握してからでないと「速報」できないと思い込み、誤報を流して責任を問われる事態を恐れたのでしょう
官房長官に報告してから出ないと公表できないとか、官房長官自ら記者会見をして公表すべきだなどという考えがあったとすれば、それはもう論外です
産経新聞の論調は民主党政権の対応を批判する内容ですが、自民党政権であったとしても危機管理センターを運営するのは官僚ですから、同じミスを犯した可能性が考えられます
そもそも上記の記事は防衛省がまとめた報告を下敷きにしたものであって、危機管理センター自身が自らの対応の是非を検証したものではありません
危機管理センターは何を改めるべきと考えているのか、気になるところです
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