大阪心斎橋殺人事件を考える2 礒飛容疑者
大阪の繁華街で無関係の男女2人に包丁で切りつけ殺害した礒飛京三容疑者について2度目の言及です
各メディアが礒飛容疑者の生い立ちについて報道しており、その中からワイドショー「とくダネ!」の中で放送された内容をそのまま記事にした、J-CASTニュースの記事を取り上げます
通り魔殺人・礒飛京三「犯罪人生」サッカー少年、真面目な内装工の転落
材木商を営む家に生まれ、その後父親がなくなって生活が暗転したと書かれています。が、別の報道によれば父親の事業が失敗し、夜逃げ同然で転居をしたと書かれており、判然としません
どちらにせよ、多感な中学生時代に人生が大きく激変したわけですから、グレるのも分かります
言い換えるならば、自分の境遇の変化を受け入れられず、怒りや不満を周囲にぶつける行動に走ってしまった(不良化)わけです
成人前には内装工として地道に仕事をしていた時期もあったようですが、その後の転落については触れていません
おそらくは暴力団に関わったり、覚醒剤使用で逮捕されたりの人生だったのでしょう。だからとって今回の事件が覚醒剤の影響により、心神喪失状態で引き起こされたものと考えるのは先走りすぎでしょう
警察も当然、過去に覚醒剤使用歴を持つ礒飛容疑者が起こした事件ですから、覚醒剤使用の有無は調べたはずです
現時点で、覚醒剤を使っていたとの報道はありません
また、こうした事件が起きると犯人の主張する「誰でもよかった」、「死刑になりたかった」との発言を切り取り、「動機なき殺人」だと決めつけるような報道も散見されます。が、これも先走りすぎであり、「動機なき殺人」という表現に幻惑された結果であると言えます
犯人が自らの犯行動機をすらすらと説明できるとは限りません。むしろ、犯人ですら自分の本当の犯行動機を理解していない場合もあるのです
当初、礒飛容疑者は「自殺をしようと思ったが死にきれなかった」ので、「誰かを殺害して死刑になろうと思った」と供述していると報じられました
しかし、実際にはデパートで包丁を購入後、わずか30分ほどで犯行に及んだとされ、「自殺を企図した形跡はない」との話です
つまり、自殺しようと手首を切ったりした痕跡はなく、包丁購入は無差別殺人を決行するためだと考えられるのです
本当に自殺をしようと悩んだ挙句の犯行だったのか、疑問です
礒飛容疑者が大阪へ来たのは刑務所仲間から、「大阪で仕事を紹介する」と言われたからだと説明されたいます
おそらくは刑務所で一緒だった男が、「ワシは大阪で顔が利くんや。仕事なんかなんぼでも紹介したる」と発言したのでしょう。刑務所の中では自分を大物であるかのように見せるため、平気でウソをつきます
礒飛容疑者もこうしたウソにひっかかり、大阪まで出向いたと推測されます
保護観察所など公的な機関の斡旋を信用せず、自らのツテやコネを当てにして行動し行き詰まってしまったのでしょう
公的機関を信用しないのは猜疑心の現れで、自分の意に沿わない就労先を押し付けられるのを警戒したためと思われます
また、刑務所仲間のツテやコネを当てにするのは主体性の欠如と、他人への依存の強さを反映していると考えられます
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