亀岡暴走事故 被害者の近況と少年法

京都府亀岡市で集団登校中の小学生の列に車が突っ込み、10人が死傷した事故から1ヶ月が経過しました
被害者の親族・縁者はまだ気持ちの整理がつかず、落ち込んだり悩んだりの日々をすごしているようです
突然の事故で家族や知人を亡くしてしまえば気持ちの整理に時間がかかるのは当然であり、「はやく元気になって下さい」などと軽々しく声をかけるべきではありません
産経新聞では、こどもたちの集団登校に付き添っていて事故に巻き込まれ亡くなった松村幸姫さんのいとこの近況を取材し、記事にしています

(引用元記事が削除されました)

この女性の悲しみとやり場のない気持ちを表現しようと意図した記事なのでしょうが、取材など控えてそっとしておいてあげるべきではないか、と思ってしまいます
この18歳の女性は亡くなった松村幸姫さんを姉のように慕い、なおかつ自分も将来は家庭と仕事を両立させている松村さんのようになりたいと憧れていたのでしょう
男の子も女の子も身近な大人の同性を自分のモデルとし、「あんな大人になりたい」思い描くものです
それだけに突然の事故死に衝撃を受け、自分の体の一部が死んでしまったかのような深い喪失感に苛まれていると解釈できます
松村さんの死を悼むとともに、自分を再構築するための時間とエネルギーが必要になります
さて、記事の中できになるのは、「私は少年たちの住所と名前を知っているのに、彼らは少年法に守られている。そこが歯がゆいから、泣きたくても、泣けないんです…」と書かれている部分です
これだけではどのような意図を含んだ発言なのか、よく分かりません
推測すると、少年法によって少年の名前や顔写真など報道するのは控えるよう規制がかかっているため、「加害者である少年たちについて語りたくても語れない」と思い込んでいるようです
ただ、これは報道機関に対する少年法の要請であり、一般人までもがこの少年法の趣旨に縛られ、加害者である少年たちについて何もしゃべってはいけないと縛りがかけられているわけではありません
すでにインターネットでは逮捕された少年たちの実名も顔写真も出回っています
それが少年法に違反するかどうかは裁判所の判断しだいでしょう
必要なのは被害者遺族が少年法の要請など気にせず、怒りや悲しみを十分に吐き出すことでしょう
「罪を憎んで人を憎むな」との格言はありますが、罪を憎み人を憎んで構わないと自分は思います。わが子を殺され、「仇は取ってやる」と発言した父親もいます。その心情は察して余るところです。もちろん父親も犯人の少年たちを殺したところで我が子が生き返ったりしないのは承知しているわけで、それでもなお「仇はとってやる」と口に出さずにはいられなかったのでしょう
「怒りや悲しみなどネガティブな感情は捨て、ポジティブ志向で行きなさい」と自己啓発本は書いていますが、そんなものはクソ食らえです(だからといって被害者遺族は理性を失ったりはしません。感情の赴くまま、無責任な行動を繰り返す犯人たちとは違うのです)
事件に関する一連の報道を見直していると、今回の事故を「ファッション感覚で運転」していたため起きた、とする記事を見つけました
当ブログでは少年事件を「ゲーム感覚でやった」と表現する警察・メディアの姿勢を批判した経緯があります。今回の「ファッション感覚」も、「ゲーム感覚」と並ぶくらいひどい表現です

「ファッション感覚で運転」 30時間走行、無軌道ドライブ 少年6人が家裁送致

警察の人間が「ファッション感覚で運転し、罪の意識はなかったのでは」と発言したのを受けて記事にしたのでしょうが、警察の事件に対する認識とそれを表現するセンスの欠如にはうんざりさせられます
日常的に事件に接しているがゆえに感覚が麻痺し、なおかつ事件を語ることばを持たないがゆえの発言でしょう

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