水循環変動観測衛星「しずく」の打ち上げ成功

18日深夜、種子島からH2Aロケット21号機が打ち上げられ、水循環変動観測衛星「しずく」を所定の軌道に投入させています

水循環変動観測衛星「しずく」打ち上げ


が、なぜか産経新聞は「H2Aロケットを打ち上げ 初受注の韓国衛星載せ 日本の『しずく』も搭載」と、まるで韓国の衛星がメインであって、「しずく」がおまけであるかのような記事を書いています

H2Aロケットを打ち上げ 初受注の韓国衛星載せ 日本の「しずく」も搭載

「アリラン3号は韓国航空宇宙研究院が開発した地球観測衛星」と記事に書いていますがこれは間違いであり、衛星の設計・製作は外国企業EADS アストリアム社への丸投げです
別の記事にも変な記述が見られます

(引用元記事が削除されました)

「韓国と時差がなく、欧米と比べて食事などの文化も近い日本での打ち上げは、衛星を整備する技術者の負担が少ない」と韓国側が語ったのでしょうか?
産経新聞の記者が単なる思い入れで書いているのではないか、と疑ってしまいます
観測衛星の打ち上げと「食事などの文化も近い日本」と、どこでどうつながるのか不可解な内容です
そもそも上記のようにこのアリラン3号は外国企業に丸投げして製作させたものですから、韓国側の技術者に整備するだけの能力があるのかも疑問です
韓国航空宇宙研究院の金承祚院長は別のインタビュー記事で、韓国の宇宙開発の課題を、「自前で人工衛星を作れるようになること」だと指摘し、「現在は外国の技術に依存している」と事実を認めています
韓国メディアはほぼ例外なく、「韓国の技術100%で開発した国産観測衛星」だとしており、日本のメディアもそれを受け売りしているところばかりです
産経新聞の論調は韓国と日本が協力し、ビジネスパートナーになったと印象付けようとする意図がありありで、違和感をおぼえます
韓国は自前でロケット開発を進める方針を堅持していますから、三菱重工を今後も利用するとは限りません
いまのところ韓国メディアの報道は、アリラン3号のスペックの優秀さ(地上70センチのものを見分ける能力がある)を強調するものばかりであり、H2Aロケットには触れないままです
例えば聯合通信の記事は以下のようになっています

▲地上観測カメラを初めて作ったということに意味がある。0.7m級のカメラに装着レンズを直接製作できなかったが観測装置を設計、組み立て、実験する部分は航宇研と、国内企業が主導した。
アリラン3号はまた、カメラの動きが速い。つけても撮って敏捷性も良くなった。
しかし、ホイールなどの部品は、国内製造能力がない外国製品を買って使った。
- 0.7mの解像度はどのくらい精密なのか。
▲地上685㎞の上空で、中型車と小型車を区別できるほどの高解像度もだ。
-アリラン3号の寿命は。
▲衛星の機能が停止する確率が75%程度になる時点である4年見ている。
ただし、元の寿命は約3年だったアリラン1号は8年も動作し、2号は6年が経ったにも現在稼働している。  
-午前1時39分発射する理由は。
▲3号午後1時30分地上を観測するように設計した。2号が午前10時50分に韓半島上空を通るからである。
種子島の宇宙センターは発射体を南西に発射するため、衛星が午後1時30分に韓半島上空を通過するようにするには、12時間前夜明けに発射しなければならない。
一緒に発射される日本の衛星を考慮して打ち上げウィンドウの幅を午前1時39分から1時42分短く握った。
-衛星打ち上げが失敗した場合、日本側にも責任があるのか。
▲ロケットの方は衛星打ち上げ失敗の責任を負いません。それぞれの保険で処理することになっています。アリラン3号衛星自体に1億ドル、打ち上げ費用として2000万ドルと、合計1億2,000万ドルを補償する保険に加入している。
ソウル=連合ニュース


「打ち上げ失敗の場合、日本側にも責任があるのか」とわざわざ触れているところで苦笑してしまいます
打ち上げが失敗したなら、例のごとく「謝罪しる、賠償しる」の連呼だったはずです
ともあれ、水循環変動観測衛星「しずく」の打ち上げ成功を祝い、今後の観測活動に期待をしましょう

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