「サイボーグ009」完結編を関係者が制作

漫画家石ノ森章太郎は1998年に心不全のため60歳で没しています
その石ノ森章太郎の代表作である「サイボーグ009」の完結編が、石ノ森の息子(石森プロ社長)小野寺章や元アシスタントらの手で制作されると報じられています

サイボーグ009 :故石ノ森章太郎さんの人気作がついに完結へ 「クラブサンデー」で連載開始

石ノ森章太郎が残した構想ノートや小説原稿を元に制作されると記事に書かれていますので、未完の「サイボーグ009」のラストをほぼ忠実に描く形になるのでしょう
この「サイボーグ009」は自分が初めて買ったコミックです。少ない小遣いを弟と出し合って書店で購入し、繰り返し読みました
しかし、どこまで読んだのか記憶は定かではありません。第11巻か、第12巻くらいまでだったように思います
あれから歳月は流れ、「サイボーグ009」に特別な思い入れはありませんし、完結編を読みたいという気持ちにもなれません
以前、当ブログでは「語り始めた物語は責任をもって終わらせなければなりません」と書き、宮崎駿が12年かけて完結させた「風の谷のナウシカ」について取り上げました
石ノ森章太郎も創作者として「サイボーグ009」の完結を予定し、構想を練っていたのでしょう。それが60歳という早すぎる死によって完遂されなかったのであり、遺族が遺志を引き継いで完結編を描くのに何の問題もないわけです
しかし、「語り始めた物語は責任をもって終わらせなければなりません」と自分で書いておきながら、今回の報道に接して「未完の物語は未完のままでよいのかもしれない」との思いが頭に浮かびました
そのため、「完結編を心待ちにする」気分にはなれないのです
これが完結編ではなく、石ノ森章太郎が構想しながらも漫画化できなかった未収録のエピソードを集めた「続編」なら、また違った思いで受け止められたのでしょうが
余計な勘ぐりは遺族・関係者には不快だと思いますが、この時期になぜ完結編なのかという疑問も湧きます
Production I.Gが神山健治監督作品として今年の秋に劇場版「009 RE:CYBORG」を公開する予定であり、それに併せての完結編制作を企画したのかもしれません(もちろんそれを悪いと決めつけたり、批判するつもりはありません)

神山健治監督最新作『009 RE:CYBORG』


原作者が亡くなった後でもこうしてコンテンツが時代を超えて生き続けるのは、原作者にとっても本望なのではないかと考えます
アメコミのヒーローであるスーパーマンやバットマンの物語が延々と描き続けられるように、「サイボーグ009」も優れた創作者の手で引き継がれ、語られるべき物語なのでしょう
先日の書いたように、日本は「009」を始めとするすばらしいコンテンツを数多く生み出してきたのですから、これらの文化遺産を継承し、生かし、発展させてしかるべきです
それにしても神山健治監督の「009」は、もろに「攻殻機動隊」風なので苦笑してしまいました

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