結婚詐欺師木嶋佳苗の死刑判決を考える
結婚話で男性をたぶらかし、金銭をだまし取った挙句に殺害するという凶悪な犯罪を繰り返した木嶋佳苗にさいたま地方裁判所は死刑判決を下しました
2010年の秋にこの事件が新聞やテレビで取り上げられるようになった時から、当ブログでは言及するようになったのですが、ブログの記事のページビューとしては大して反響もない状況でした
しかし、木嶋佳苗の裁判が始まった頃からページビューが増え始め、社会の感心がそれだけ高いのが伝わってきました
さて、死刑判決が出てこの事件も一区切りを迎えたのですが、あらためてこの事件と裁判について考えてみましょう
一部のメディアは、「状況証拠だけで死刑判決を下すのは問題だ」と言わんばかりの報道をしていますし、「素人の裁判員に死刑の判決を下せるのか?」との愚問を提起している報道もあります
その批判に対する回答として、裁判員の心情を取り上げた記事があります
首都圏の連続不審死事件で、男性3人を殺害したとして殺人罪などに問われた木嶋佳苗被告(37)に死刑を言い渡した13日のさいたま地裁判決で、裁判員を務めた男女各3人のうち男性2人が閉廷後の同日午後、記者会見に応じた。裁判員裁判で過去最長の100日間の長期審理について「裁判官と裁判員が結束し、たどり着けた」と達成感を口にした。一方で「裁判が進むにつれ、だんだんつらくなった」と精神的負担の重さも率直に明かした。
裁判員裁判による死刑判決は14例目で、女の被告では初めて。木嶋被告は判決を不服として即日控訴した。
事件では、被告と犯行を結びつける直接証拠はなく、検察側は状況証拠を積み重ねて死刑を求刑。裁判員らは難しい判断を迫られた。
裁判員を務めた林太一さん(27)は「状況証拠がほとんどだったが、いくらか物証もあった。パズルを組み合わせるようにして判断した」と説明。「だんだんつらくなった。(迷いは)多少なりともあったが、事実の大きさが自分の中で強かった」と振り返った。
別の裁判員の男性(25)は「人の命に関わることなので負担もあった。(死刑の重みを自分も)ちゃんと受け止めないといけない」と語った。
男性は、被害者の遺族が出廷し、被告に対し「命で償ってほしい」と訴えたことが印象に残ったといい、「遺族の喪失感を思い、感情的に入り込んだ。しっかりと考えた結果が判決になった」と述べた。
今年1月10日の初公判以来、この日を含めて公判は計36回。証人は延べ約60人に上り、朝から夕方まで拘束されるスケジュールがほぼ週4日のペースで続いた。裁判員らの負担を軽減するために、1事件ごとに別々の裁判員が審理する「区分審理」も検討されたが、見送られた。
男性は「仕事の調整に負担もあった」と明かしたものの、「全体を見ないと分からない部分もあり、分かりやすかった」と一括審理を評価。林さんも「(審理や評議に)長い時間をかけられたことが、逆に良かったのでは」と話した。
林さんは、裁判官から「評議室であったことは家に持ち帰ってはいけない。家で考えてもいけない」と助言があったと明かし、「メリハリを付けられて良かった。長い間、メンバーが結束して審理できた」と充実感を示した。
(日本経済新聞の記事から引用)
検察側の論告にある、「窓の外には夜空が広がっている。夜が明けると、雪化粧になっていた。雪がいつ降ったかを見ていなくても、夜中に降ったと認定できる。誰かがトラックで雪をばらまいた可能性もあるが、そんなことをする必要はない。健全な社会常識に照らして、合理的かどうかを判断してほしい」との主張は極めて斬新なものだと思います
従来は、「疑わしきは罰せず」とか、「疑わしきは被告人の利益に」などという慣例がまかり通っていた裁判のあり方を根底から変えるものです
状況証拠を積み重ねた検察側の立証に反論するには、被告・弁護側は「状況証拠だけで有罪と決めつけられない」と法理を口走るだけでは足りず、「被告が犯人ではない」という具体的な証拠を掲げるか、犯人ではないと推認するに足る状況証拠を積み上げる必要があるわけです
木嶋被告は判決を不服として控訴していますが、控訴審では何を主張するのでしょうか?
さて、木嶋佳苗個人に焦点を絞ると、北海道の高校を卒業後東京に出てからの生活が裁判の中で明らかにされました
デートクラブに所属し、小金持ちの男性相手に売春をして生計を立てる暮らしを続けていたわけです
しかし、木嶋被告がなぜそのような人生を選択したのか、背景までは踏み込んでいません。裁判そのものは起訴された3件の殺人について有罪を立証するのが目的ですから、木嶋佳苗被告の人生を解明する必要はないのですが
それでも二十歳前後の若い女性が売春で生活して行こうと決意するのは不自然だと自分には映りますし、それ相応の理由・原因・事情があったはずだと思います
木嶋佳苗被告本人にも、なぜそんな人生を選んでしまったのか分からないのかもしれません
具体的に言うなら、木嶋佳苗被告と実母の間にどのような葛藤があったのか、そこを解明しなければ、彼女の人生がこうまで狂ってしまったのかは読み解けないのだと考えます
以下、関連記事としてはこれまで当ブログで書いてきた、木嶋佳苗関連のものを掘り起こし並べてみました
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