政府「レバ刺し禁止」の方針
焼肉屋で生肉を食べ、食中毒となって死亡する事件があったのは記憶に新しいところですが、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会は食中毒の危険性が高まる夏までに、飲食店で生レバーを提供することを禁止する方針をまとめた、と報じられています
これを真っ向から批判しているのが、日本経済新聞の社説です
「レバ刺し禁止令」の愚かしさ
食の安全・安心のために、行政が手を尽くすのは当然のことだ。だからといって、こうも短絡的な「禁止令」がまかり通っていいのだろうか。牛の生レバー(肝臓)をめぐる法規制の動きである。
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会が、生レバーの販売を禁止する意見をまとめた。厚労省は近く食品衛生法に基づく規格基準をつくるという。違反すれば2年以下の懲役などが科される。
ことのおこりは、昨年、一部の焼き肉チェーン店で牛の生肉を食べた客5人が死亡した集団食中毒事件だ。厚労省が新たに厳しい条件を設けたため、ほとんどの飲食店が提供を断念している。
対象は生レバーに飛び火し、腸管出血性大腸菌O(オー)157がレバー内部から検出されたのを受けて一気に全面禁止の方向となった。「レバ刺し」などのメニューが完全に消えることになる。
ただ1つの事業者が引き起こした不祥事を機に「官」による規制が際限なく広がる、典型的なパターンだろう。耐震偽装事件のあと、建築基準法が強化され、業界を萎縮させたのと同じだ。
そもそも、生レバーに危険性があるのはたしかだが、1998年以降の食中毒事例は年間10件ほどだ。食中毒全体の1%に満たず、生ガキの食中毒などと比べて突出しているわけではない。
およそ食べ物から完全にリスクを取り除くのは難しい。魚の刺し身も生卵も、食べる、食べないは、突きつめれば個人の判断だ。食文化というものは、そうした微妙な均衡のもとに育まれてきた。
そこに「お上」が乗り込んでメニューそのものをご法度にするとは、ほかの分野での過剰規制にも増して愚かしい対応と言わざるを得ない。へたをすれば「闇レバ刺し」がはびこることになる。
抵抗力の弱い子どもや高齢者には肉や魚の生食をさせない。ルールを守らない事業者は個々に処分する。禁止令の前に、やることがあろう。危険を見分ける消費者の自覚ももちろん大切である。
(日本経済新聞の記事から引用)
この厚生労働省の方針についてはさっそく、あちらこちらから反対の声が表明されています
たとえば、民主党の「焼肉を考える議員連盟」は「食べられなくなると影響が大きい」として厚労省と食肉業界で全面禁止を回避する方法を検討するよう求めたそうです
「影響が大きい」とはどのような事態を想定しているのでしょうか?
レバ刺しを禁止した途端、全国の焼肉屋が潰れるとでも考えているのなら大きな間違いでしょう
焼肉屋はレバ刺しだけを提供しているわけではありません
世の中にレバ刺しを食べなければ生きていけない人間など存在しませんし、焼肉屋を利用する客の全員がレバ刺しを注文したりはしません
もっと現実を見据えて議論をするべきでしょう
民主党の「焼肉を考える議員連盟」の程度がうかがえます
命を落とす危険を賭けてまでレバ刺しを食べようという理由が自分には理解できません
焼肉屋「えびす」の食中毒事件ではユッケを食べたこどもが死亡しています
報道によれば、誕生日を祝うため家族で食事をし、亡くなったこどもが「食べてもいいでしょう」と親にねだってユッケを注文したのだそうです
親は生肉が危険であるとの認識もなく、気軽に応諾してしまったのでしょう
レバ刺しを食べて食中毒になる事例は毎年発生しています。それで命を落とす危険を民主党の焼肉議員は考えもせず、「安全に食べられるようにすれば問題ないはず」だと絵空事を議論しているのです
繰り返して書いておきますが、ユッケやレバ刺しを禁止しても焼肉屋が潰れたりはしません。ですが、食中毒を発生させればその店は潰れます
どちらがリスクが高いのか、民主党の焼肉議員にも分かるはずですが
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