千葉東金女児殺害事件を考える3 懲役15年が確定
平成20年に千葉県東金市で保育園児(5歳)を殺害、遺棄したとして、殺人罪などに問われた勝木諒被告(25)について、最高裁は上告を棄却する決定を下しました
これで勝木被告は懲役15年の刑が確定したわけです
千葉県東金市の保育園女児殺害事件で殺人罪などに問われた同市の無職、勝木諒被告(24)の判決が4日、千葉地裁(栃木力裁判長)で言い渡される。軽度の知的障害がある被告の責任能力と訴訟能力の有無が争点。検察側はいずれも問題ないとして懲役20年を求刑、弁護側は公判停止などを求めている。
訴訟能力は裁判手続きの意味を理解して被告が自分の権利を守る能力。被告が心神喪失状態で訴訟能力がない場合、公判を停止しなければならない。過去数例しかなく、公判で争われるのはまれだ。
公判で弁護側は「逮捕」「黙秘権」「裁判官」の意味を尋ねたり、取り調べへの対応を三つの選択肢から選ばせたりする異例の被告人質問などで立証を図り「手続きの理解力も、コミュニケーション能力も不十分」として訴訟能力がないと主張。検察側は「不利な事実関係の供述を避けたり黙ったりしている。裁判の仕組みも理解している」と反論した。
責任能力を巡っても「障害の影響を過度に考慮すべきではない」とする検察側と、殺人罪に関し「場当たり的だ」として限定責任能力を主張する弁護側が対立。双方の鑑定医も「完全責任能力があった」「心神耗弱だった」とそれぞれ証言した。
起訴状によると、勝木被告は08年9月21日、路上で見かけた保育園児(当時5歳)をマンション自室に連れ込み(未成年者略取罪)▽浴槽に沈めて水死させ(殺人罪)▽遺体を近くの資材置き場周辺に捨てた(死体遺棄罪)--とされる。
(毎日新聞の記事から引用)
当初、この事件は知的障害のある勝木被告を犯人に仕立てた冤罪事件だと報じるメディアもありました。さらに当初、勝木被告の弁護を担当した人物が冤罪説を吹聴していた事実もあります
しかし、当ブログで先に述べたように弁護人が途中で交代してしまい、勝木被告の犯行を認めた上で、弁護方針は「知的な障害により責任能力が著しく欠けるので、公判は中止にすべきだ(責任能力がないので罪を問えない)」とする方向へ移りました
そのため裁判では犯行事実について弁護側は争わず、責任能力を巡る攻防が繰り広げられてきたのです
自分の稚拙な体験を述べると、知的障害のある少年が近所の女の子にわいせつ行為を繰り返すというケースに関与したことがあります
少年の通う養護学校の先生は、「性教育には特に力を入れてきた」と述べ、困惑しきりでした。知的障害のある生徒が性犯罪の被害者になったり加害者になる事例があるため、養護学校としては性教育に時間を割いているのでしょう
しかし、教育内容について聞いた限りでは、妊娠や出産の仕組みを知識として教えるところに重点が置かれており、性欲を抱いた少年が自らの行動をどう律するべきかについて教えているようには感じられませんでした
学校の性教育の場で、女性の教師が男子生徒にマスターベーションのやり方を教えるわけにはいかないのか、そもそも教育課程に含まれていないのでできないのかは分かりませんが
赤ちゃんでできる仕組みを教えるのも重要ですが、性欲をコントロールする必要性と性欲発散の方法を教えることも重要でしょう
知的な障害があるからといって、「心身とも未熟であり、性欲など持っていない」と決めつけるのは誤りです
自らの性欲を発散するため他人を暴力で傷つけるような真似をしてはならない、と教えるのも性教育の大切な役割です
とは言っても、知的障害者に性欲をコントロールせよと要求するのははなはだ難しいのですが
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