強制わいせつ被害 10歳の訴えを「告訴能力なし」と否定

10歳の少女が義理の父親から強制わいせつの被害を受けたと告訴していた事件で、富山地方裁判所は少女が「幼すぎて告訴能力はない」と判断し、公訴を棄却する判決を下したと報じられています

10歳の告訴能力、「幼い」理由に否定 「地獄だった、重い罰与えて」も届かず

記事には裁判所が判決文の中で示した「告訴能力なし」と判断する理由が列挙されているのですが、あまりに形式的な判断です
(1)被害の客観的経緯を認識している(2)被害感情がある(3)制裁の意味や仕組みを理解している--を告訴が有効な条件とした。そのうえで「幼い年齢」や本人の正式な告訴状が作成されていない状況から、「告訴能力を有していたことには相当な疑問が残る」と指摘した。祖母の告訴状も、母が最終的に起訴されなかったことから、告訴権者は母であって祖母ではないとし、無効と判断した。


この事件は男性が義理の娘をホテルに連れ込んでわいせつ行為をしたものです。富山地方裁判所は少女に告訴能力はないので、「母親が告訴すべき」と判断しているわけですが、その母親も男の言いなりになってホテルの宿泊を予約するなど、娘に対する強制わいせつの共犯になっています
共犯関係にある母親が娘の被害を告訴するはずもなく、裁判官は何を考えているのかと言いたくなります
さらに裁判官は少女に告訴能力があるのかどうか、法廷に少女を呼んで確かめようともせず、単に10歳11ヶ月という年齢だけを根拠に「告訴能力なし」と判断しているのですから、呆れるのを通り越して怒りすら湧いてきます
この裁判で重要なのは11歳の少女に対して行われた、義理の父親という立場を利用した性犯罪を裁くことであって、告訴能力を云々することではなかったはずです
裁判の目的を履き違えたと指摘するしかない、あまりに杓子定規な判断でしょう
毎日新聞の記事には、過去に12歳の告訴を認めた判例も紹介されています
性犯罪の被害者は大人だけに限りません。幼い子供が被害にあるケースも決して少なくないわけです
しかし、「10歳は告訴能力がない」などという裁判所の判断は、幼い子どもたちに「被害を訴える資格はない」と宣告しているのも同然であり、到底納得できるものではありません
特に今回の事件のように義理の父親から性的被害を受けるケースでは、被害を訴えようにもそれができない事情(被害を訴えることで家庭が崩壊する)もあります
家庭崩壊を防ぐため「自分だけ黙っていれば」と被害者が泣き寝入りする事例もあるはずです
こんな裁判所の判断がまかり通るようでは被害者の救済などできませんし、醜悪な性犯罪者を野放しにするだけでしょう
「告訴能力は年齢によらず、被害者個々の能力を斟酌した上で判断されべきだ」との判断が控訴審でくだされるよう期待します

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