中国アニメ産業、生産額1兆円の時代を迎える

相変わらず文化を語れず、金の話しか書かない中国メディアの報道です
人民網日本語版が「中国アニメ産業、生産額1000億元の時代を迎える」との記事を掲載しています。1000億元とは日本円に換算すると1兆3000億円になります
が、記事の中身は意味不明な表現とあやしい数字ばかりで、とても信用できません

中国アニメ産業、生産額1000億元の時代を迎える

記事の末文には、「デジタル時代の現代、中国の次世代メディアアニメは日米等のアニメ強国に並び、中国アニメ産業発展の主要方向となっている。10億人弱の潜在的な視聴者が、中国の次世代メディアアニメ発展の理想的な未来を約束する」と意味不明な勝利宣言?が書かれています
何を意味しているのか、どなたかに説明してもらいたいものです
「デジタル時代の現代」と定義しているつもりのようですが、何を指しているのか不明ですし、それがどうして「中国アニメ産業発展の主要方向となっている」のか理解など不可能です
要するにフルCGアニメ路線で行く、と言いたいだけなのではないでしょうか?
ならばそう書けばよいものを、頭が悪いくせに難しい言い回しを使おうとして失敗してるように映ります
「10億人弱の潜在的な視聴者」と表現するのも意味不明です。13億人の国民がいるのですから「13億人の顕在的な視聴者」と書けば済むのに、なぜ潜在的な視聴者と表現するのでしょうか?
加えて、「コンテンツに金を払おうとしない13億人のケチな視聴者」と書き添えるべきでしょう
正規品のDVDも買わず、インターネットで不正に視聴している中国で、アニメーション作品の生産額(売上額ではないわけですが)が1兆3000億円に達しているなどというホラ話を信用するのは日本経済新聞くらいでしょう
記事ではやたら数字を列挙し、その事実を強調したいようですが、怪しい限りです
たとえば2006年のデータからすると、制作本数339本で生産額は1040億円です。1本当たり3億円の生産額になります
これが2010年のデータでは、制作本数597本で生産額は6110億円です。1本当たり10億円の生産額になります。2006年の3倍です
なぜ1本当たりの生産額が3倍になっているのか、説明はありません
中国のアニメーション作品は海外に売られているものもあるのでしょうが、その販売先のほとんどを中国国内の放送局が占めています。上記のようにDVDで販売して制作費を回収するというビジネスモデルが成り立たない中国では、テレビ局への販売で制作費の回収を図るしかありません(最近ではインターネットの有料配信も増えているようですが)
中国のテレビ局が自国のアニメーション作品を年間6110億円も買い上げているとは思えません(古いデータですが、2006年の報道で中央電視台のアニメ作品の仕入れ価格は業界最高ながら500元/分でしかない、と書かれています)
2010年のデータで生産量が約22万分であり、これを中央電台がすべて買い取ったとしても売上高は22万分×500元ですから1億1000万元の売上にしかなりません
しかし、上記の記事では2010年のアニメ産業生産額は470億円元(6110億円)だと誇っています
この生産額と売上額との大きなギャップをどう説明するのでしょうか?
テレビ局の買取価格が倍になったとしても埋め合わせができません。アニメーションの正規版DVDが数千億円も中国国内で売れるようになったと説明するのでしょうか?
YouTubeには中国製アニメをわざわざChinamationとして紹介している動画があります。中国の制作会社が国外に売り込むため、サンプルをアップしているようです

Chinamation Dreamtown Trailer Chinese Animation



幼児向けの、何の魅力感じられない作品です
これで海外市場に売れるとすれば、販売価格が安いからでしょう

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中国長期経済統計
ジェトロ(日本貿易振興機構)
中嶋 誠一

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