大阪幼児餓死事件を考える11 中学時代にレイプ被害

2人の幼い子をマンションに置き去りにして餓死させた下村早苗被告の裁判ですが、検察は無期懲役を求刑しています

2児放置死 母親に無期懲役求刑…大阪地裁

母親がこどもを殺害する事件は度々発生するのですが、無期懲役を求刑されるケースはきわめて稀です
育児ノイローゼでこどもを殺害したケースでは心神耗弱が認められると、懲役5年くらいの判決になります。こどもを殺害しておいて懲役5年という軽い刑罰は腑に落ちませんが、これが現在の刑罰の実態です
さて、下村早苗被告について弁護側は、「(2人のこどもが)死ぬことまでは意識しておらず、保護責任者遺棄致死罪にとどまる」と殺意を否認する主張をしてきました。その上で、下村被告が幼いころに両親が離婚したり、中学時代の性的暴行の経験など成育環境が事件の背景にある」と弁護してきました
中学時代の下村被告は非情に荒れており、家出を繰り返し、家出の資金を得るために援助交際をしたり、暴走族に加入していたのだそうです
そんな不良仲間に加わっていれば輪姦されるのも珍しくありません
詳しい経緯は新聞報道にも書かれていないので不明ですが、レイプ被害に遭ったのは下村被告にとってショックだったのでしょう
ただし同情はしますが、自ら進んで不良仲間に加わってしまった以上、そうした目に遭う可能性は存在していたわけです。不良仲間だから守ってもらえるというわけではありません
弁護側の主張は、両親の離婚や、レイプ被害、自身の浮気による離婚などなどの精神的な外傷が下村被告に影響を与えており、「不安をあえて意識しないようにする傾向があった」と強調しています
これは親から虐待を受けたこどもが、自分の身の上に起こっている現実(虐待)をあえて自分自身の体験ではないと切り離すことで、自分を守ろうとする反応を指しているのでしょう
2人のこどもの育児という切迫した現実を切り離してしまい、自分自身の抱えている問題ではないとして意識しないよう操作してしまった結果が今回の事件だ、と弁護側は主張しているのです
確かに下村被告の生い立ちを見れば傷だらけの人生であり、数々の心的外傷にまみれているわけですが、それがどこまで彼女の行動に影響を与えていたのかは慎重に検討し、吟味しなければなりません(下村被告については既に精神鑑定が行われているので、こうした心的外傷が行動にどう影響しているか、所見は示されているはずです)
中学3年時に複数の人間からレイプされたことで深い心の傷を負ったのは事実でしょう
が、その後は風俗店に勤務し、ホストクラブ通いをして遊び、何人もの男性とセックスをしているのも事実です
過去の心的外傷を拭い去るために、わざと享楽的な生き方をしているようにも見えます
そして何より大事なのは、下村被告の心的外傷がどうであれ、幼い2人のこどもには生きる機会が与えられるべきであったという点です
下村被告がいかに過酷な生い立ちであったにせよ、2人のこどもの人生を踏みにじって許されるものではありません

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