韓国のニュートリノ研究 中国に追い越される
朝鮮日報の記事によると、韓国がノーベル賞級の研究として取り組んでいたニュートリノの検出実験ですが、中国の方が先に実験結果を論文にして発表してしまい、追い越されたと悔しがっています
朝鮮日報の記事(WEB版)は公開時期が過ぎると、会員登録しない限り閲覧できなくなりますので記事の一部を引用します
1週間先に論文発表、「ノーベル賞候補」幻に
宇宙誕生の謎を解くカギとなる素粒子ニュートリノの研究で大きくリードしていた韓国の研究陣が、土壇場で中国に追い越された。中国が巨額の予算を投入し、国際的な研究陣と手を結んだ結果、ノーベル賞候補となる内容の研究成果を韓国よりも先に発表したのだ。
中国大亜湾原子力発電所のニュートリノ研究陣は今月8日、北京高エネルギー物理学研究所で、「電子ニュートリノがミューニュートリノに変化する振動比率を初めて解明した」と発表した。研究陣は翌9日、米物理学会の学術誌『フィジカル・レビュー・レターズ』に研究論文を提出した。
(中略)
ソウル大の金修奉(キム・スボン)教授(物理天文学)は12日、「韓国の研究陣も同じ内容の論文を今週、同じ学会誌に提出する計画だ。昨年末まで世界で韓国が最もリードしていたのに、やられたという感じだ」と語った。
■研究陣の数、予算に大差
韓国、フランス、中国はニュートリノが多く発生する原発の近くと遠くにニュートリノ検器を設置し、振動比率を探ってきた。金教授の研究チームは昨年5月、霊光原発にニュートリノ検出器を完成させ、8月から検出に着手した。スタートは中国とフランスより3-4年遅れたが、原子炉出力が高い上、自然条件も良好で、研究の進展は最も早かった。
中国が検出施設を完成させたのは昨年7月だった。韓国は116億ウォン(約8億5000万円)をかけ、検出器2台を設置したが、中国は600億ウォン(約43億9000万円)を投じ、6台を設置した。韓国は大学10校から約50人が研究に加わったが、中国は米国と手を結び、両国の38の機関の約240人による大規模な研究陣を集めた。中国は昨年12月24日から検出作業に入り、わずか55日間で世界的な発見にこぎ着けた。
■円高で部品調達に遅れ
韓国の専門家は「韓国政府が基礎科学分野に巨額の投資を行った点は認めるが、韓国がリードしている段階でもっと支援をしていたら、状況が変わっていたかもしれない」と残念がった。研究陣がニュートリノ検出器の建設許可を受け、地域住民と環境団体を説得するのに手間取ったため、検出器の完成は予定より1年遅れた。その間に円高が進み、重要部品(日本製光センサー)を購入できずに日程が遅れた面もある
(後略)
朝鮮日報 2012/03/13
この実験については前にも当ブログで取り上げました。ニュートリノ検出装置を設置しただけで、韓国メディアは「ノーベル物理学賞を取ったも同然」と言わんばかりの記事を書いていました
ニュートリノ振動を観測し、電子ニュートリノがミューニュートリノに変化する振動比率を明らかにする実験だったわけですが、それだけでノーベル物理学賞が取れると決めつけるのはどうか、と思ってしまいます
ニュートリノが他のニュートリノへ変化する現象(ニュートリノ振動)については、名古屋大学の牧・中川・坂田理論でその説明がなされており、理論の裏付けを取るための観測実験に各国、各研究機関が取り組んでいます
中国や韓国の研究もその1つですから、ノーベル物理学賞の候補になるのは理論を提唱した日本人研究者の方でしょう(3名の日本人研究者はすでに故人である、との指摘がありましたので書き添えておきます)
ちなみに上記の朝鮮日報の記事にあるソウル大学の金修奉教授はカミオカンデ実験に参加した人物です。1987年、マゼラン星雲の超新星爆発によって発生したニュートリノをカミオカンデで検出した研究で小柴東大教授がノーベル物理学賞を受賞したのですが、そのときの論文はカミオカンデ実験に参加した研究者の共著になっています
しかし、功を焦った韓国人研究者が本来共同研究であるはずの論文を自分の名前だけで研究誌に送りつけ、公表しようしたのがバレ、小柴教授に怒られるという事件がありました
その人物が金修奉だったと思います
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