結婚詐欺殺人木嶋佳苗裁判6 ファンタジーを抱えた殺人者
3人の男性を殺害し、金を奪ったとされる木嶋佳苗被告の被告人質問が終わりました
裁判は検察側の論告求刑と弁護側の最終弁論を残すのみとなっています
被告人質問での応答の一部を切り取り、それを拡大解釈して木嶋佳苗という人物を浮き彫りにする方法もあるのでしょうが、適切だとは思えません
事件に関わる行動に関して木嶋被告はあらかじめ検察側の追及を想定し、それをかわすための答えを準備していたのでしょうから、そこでボロを出したようには見えません
もちろん、不自然な釈明が多かったのですが、検察側も3人の男性殺害に関して物的証拠を提示できず、ひたすら状況証拠を披露しただけであり、有力な目撃証言も提示できませんでした
あとは裁判官と裁判員の判断に委ねられます
裁判の行方はともかく、この木嶋佳苗という女性はいったい何者なのでしょうか?
上記のように、公判での質疑応答だけから彼女の人物像を○○だ、と決め付けるようなやり方は無理があるように自分には思えます
高校卒業後、北海道から上京してデートクラブにスカウトされ、愛人契約で生活するようになったのですが、それ以降の木嶋佳苗の心の中は読めません
北海道別海町での暮らしを嫌悪し、都会に憧れるという若い女性にありがちな行動は分からないではないのですが、要するに木嶋佳苗が都会での暮らしに何を求めていたのかを考えなければなりません
これまでにも書いてきたように、木嶋佳苗はさまざまな嘘をついています
「北海道出身ながら祖母は皇室の関係者であり、自分はセレブなのだ」という設定の嘘を木嶋佳苗は好んでいたようで、彼女の抱えるファンタジー(嘘で構成された世界・幻想)が、木嶋佳苗という女性を読み解く上では重要なのだと考えます
残念ながら裁判は3人の男性殺害を巡る木嶋佳苗の行動についての攻防が中心となっており、木嶋佳苗が内に抱えたファンタジーについては追及されていません(刑事裁判なのですから、当然といえば当然ですが)
おそらく上記のようなセレブ願望は彼女がこどもの頃から育んできたものであり、東京に出てきて愛人契約をし、何人もの男性に嘘をついては金を貢がせる生活の中でも手放そうとはしなかったものです
パトロンとなった老人から計7000万円もの金を受け取っても、それを当然と答えるのは、「自分にはそれだけの価値があり、特別な人間なのだ」との思いが心の中にあるからでしょう
この「自分は特別な人間」だとの思いは、結果として他人を見下し、他人の価値を低く評価することに結びつきます
つまり他人を敬愛したり、慈しんだりしようとの意志はそこからは生まれません
木嶋佳苗という女性は、こうしたファンタジーの要素を強く心の内に抱いた小学校六年生の女の子がそのまま歳を重ねたかのように、幼稚な自己愛で満ち満ちた人物のようにも見えます(あくまでも仮説です)
大人の女性として成長するにはファンタジーを括弧でくくり、直面している現実世界の中で他者と折り合いをつける必要があるのですが、木嶋佳苗はあくまでもセレブごっこを続けるつもりであり、やめる気はなかったのでしょう
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