黒澤明・宮崎駿対談映像

いつもアニメーションの話題を取り上げているのですが、今日は巨匠と形容される黒澤明と宮崎駿の対談を紹介します
映画監督黒澤明とアニメーション監督宮崎駿の対談が1993年に行われ、テレビで放映されていました
その動画がYoutubeにアップされています。言うまでも著作権侵害なのしょうが、これは映画ファンやアニメーションファンだけでなく、広く多くの人に観てもらい味わってもらいたい貴重な対談です
黒澤明が亡くなった今となってはこんな対談は実現できません。ある意味、文化財とも言える映像作品ではないかと思います(映像と音がずれていたりしますが)

宮崎駿 黒澤明 対談 (1/10)


続きはYoutubeのサイトで御覧ください
1993年のこの対談は、黒澤明が最後の映画となった「まあだだよ」を公開した後で行われたものです
宮崎駿の方は1992年に「紅の豚」を公開しており、次の監督作品である「もののけ姫」が公開されるのは1997年です。スタジオジブリとしては、高畑勲監督の「平成狸合戦ぽんぽこ」の制作に取り組んでいた頃でしょう
この2人の対談はそれぞれ手がける映像作品のジャンルが違いますので、かならずしもかみあってはいないのですが、それぞれの意見が面白く、また貴重です
「まあだだよ」は内田百間の随筆を元に映像化した映画ですが、元が随筆ですから当然細かな情景描写は省略されてます。黒澤明が随筆から読み取ったイメージを映像として具体化させているわけです
撮影に用いるセットも、役者の服装から立ち振る舞いまで、数ページの短い随筆から読み起こすイマジネーションの豊かさにはおどろかされます
また、撮影のために黒澤明が数百枚から、時には千枚以上ものコンテを自ら描くのも知られた話です
美術スタッフも撮影スタッフも、黒澤の絵コンテを観て、監督が撮りたい映像を理解するのです。そこまでやる映画監督は最近ではいないのでしょう
俳優やお笑い芸人が映画を撮って監督デビューをするのは珍しくないのですが、彼らが絵コンテを切っているとは思えません
これでは周囲のスタッフにどのような映像を表現したいのか伝わらず、カメラマンはどんなアングルからカメラを向ければよいか手探り状態で撮影に臨まなければならないのです。照明スタッフも、撮影現場でどのような照明機材が必要になるのか、見当もつきません。現場に行ってから監督が思いつきであれこれ指示をし、スタッフが振り回される羽目になるのは当然です
黒澤明の映画が緻密な演出と、それを支える入念な下準備によって成り立っているのがあらためて伝わってきます
これは宮崎駿のアニメーションにも共通するところです
先日、「もし高校野球の子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」への批判を書いたのですが、黒澤明なら役者たちに2ヶ月くらい野球の特訓をし、野球部員らしい動きを徹底的に教えたはずです
宮崎駿が高校野球を舞台にしたアニメーションをやるなら、やはりスタジオジブリのスタッフに野球を実際にやらせ、体の動きを実感させるところから始めるでしょう
この対談を観て、映像表現の可能性を見出すのか、老人監督の戯言と感じるかは人それぞれですが、汲むべきものが多々あるように自分は思いましたので紹介しました

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