中国アニメ「少年岳飛伝奇」はディズニー風?
本当は中国自慢の劇場版アニメーション「魁拔」の日本公開予定について調べていたのですが(2011年に日本でも上映されることが決まり、配給会社とも契約を結んだとの報道があったものの、具体的な上映予定はさっぱりです)、別のアニメーションの話題を見つけたのでそちらを取り上げます
「2011日本・中国映画週間」というイベントで、「魁拔」とともに上映された劇場版アニメーション「少年岳飛伝奇」という作品です
あれこれ書く前に、その動画をご覧ください
少年岳飛伝
岳飛は中国・宋の時代に活躍した武将で、中国の歴史上(漢民族の歴史上)最大級ヒーローでしょう。諸葛孔明の知略と関羽の武勇を備えた人物、と表現すればわかりやすいかもしれません
当時、宋は南下してくる異民族の国家である金に圧迫されており、その侵攻に敢然と立ち向かったのが岳飛です
しかし、岳飛の目覚しい活躍に嫉妬し恐れた当時の宰相によって謀殺されてしまいます。享年38歳という早すぎる死でした
そんな悲劇的な最後も英雄としての名声を高めた理由かもしれません
岳飛は仙人によって名を与えられ、さまざまな武術を身につけたとされます。その修業の様子は上記の動画に表現されています
しかし、その岳飛の絵面が思いっきりディズニー風なので爆笑してしまいました
美少女と手を取り合い、そのまま歌って踊ってしまいそうです
中国のアニメーターはキャラクターデザインがよほど苦手なのでしょうか?
日本の漫画やアニメーションが個性的なキャラクターを数多く生み出しているのに比べて、中国のアニメーションは擬人化した動物か主人公か、ディズニー風のキャラしか生み出せないのか、と思ってしまいます
中国では全国の大学の7割に漫画やアニメーション関係の学科を設け、人材育成に努めているわけですが、その結果がこれではあまりに情けない話です
中国の歴史上最大のヒーローがディズニー風キャラというのでは、地下の岳飛もさぞかし苦笑しているに違いありません
せっかくアニメーション化するのであれば、もっとキャラが立つよう工夫すべきでしょう
おそらくは中国のみならず世界各国での公開も視野に入れた結果、もっとも無難なディズニー風の作画を模したのではないかと推測します(あえてパクリとは言いませんが)
自慢の中国武術の修行シーンは中国のアニメーターにすれば見せ場のつもりであり、どうだと言わんばかりの作画なのでしょう。が、ドラマ(話の展開)がそこで止まってしまうという弊害があるわけで、くどいくらい長々と映す必要はありません。岳飛少年の何を表現したいのか、それを見失っているように思われます
(追記しますと、本作品は台湾人の蔡明欽監督が手がけたものだそうです。アニメ界で30年のキャリアを持つベテラン監督なのだとか。だとすればなおさら、ディズニー風の作画に疑問を感じざるを得ません。ベテラン監督ならばなぜ、もっと個性的なキャラクターデザインで勝負を挑まなかったのか不思議です)
もし日本のアニメ制作会社が「織田信長物語」をやったとして、ディズニー風のキャラクターデザインにしようものなら、世界一アニメにうるさい日本の視聴者は決して黙っていないでしょうし、監督と制作会社を絶対に許さないでしょう
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