日仏合作アニメ「宇宙伝説ユリシーズ31」は隠れたヒット作

日本と外国のアニメ制作チームの合作についてこれまで幾つか紹介したのですが、必ずしも成功したものばかりではありません。むしろ成功例の方が少ないと言えます
企画段階でダメになった話も相当あるはずです
それでも、「日本のアニメーション産業が生き残るためには積極的に海外と手を組むべきだ」と主張する人が次々と現れます
ビジネスモデルとしては正しいのかもしれませんが、作品を完成させ市場で売るまでの苦労は並大抵ではなく、むしろ日本単独で進めた方が事はスムーズに運ぶのではないかと思われます
能書きはこれくらいにして、今回は日仏合作のアニメとしてフランスでヒットした「宇宙伝説ユリシーズ31」を紹介します
「宇宙伝説ユリシーズ31」は1981年に制作されたアニメーションです。東京ムービー新社とフランスのDIC社の合作によるものです
古代ギリシアの英雄ユリシーズが活躍する叙事詩『オデュッセイア』を31世紀の世界に置き換えたスペースオペラで、フランスのテレビ局で放映されたほか、ドイツやイタリア、イギリス、スペインなどでも放映されました
フランスでは主題歌のレコードが100万枚を超える売れ行きとなったのですから、成功した作品と言えるのでしょう

宇宙伝説ユリシーズ31 日本語版OP+ED



第一話


物語の概略は、「ユリシーズが船長をつとめるオデッセイ号は、惑星トロイに移民者を送り届けた帰路、正体不明の惑星を発見。惑星を支配する怪物シクンロープスを倒してしまったために、宇宙神ポセイドンの怒りを買い、オリュンポスの宇宙に迷い込んでしまう。
ユリシーズは息子のテレマークや異星の少女ユミ達とともに、帰路を求めて未知なる星を探査。だが彼らの行く先々に神の妨害が・・・・。オデッセイ号は地球に帰れるのだろうか?」というものです
当時のヨーロッパのこどもたちには、壮大なスケールのSFファンタジーとして映ったのではないかと思われます
日本でのテレビ朝日系で放映され、その後はNHK衛星放送でも流れましたが、さほど話題になった記憶はありません
これは日本で1979年に「機動戦士ガンダム」が放送され、リアルなロボット物へと視聴者の嗜好が切り変わるパラダイムシフトが起きたためだと考えられます
初代ガンダムに比べると、「宇宙伝説ユリシーズ」は古臭く見えてしまいます
それでもヨーロッパでは人気を得たのですから、「海外と手を組んで成功した作品」に含めて語られるべきでしょう

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