盗撮容疑で逮捕された大学生の複雑な心理を読む
産経新聞の特集「衝撃事件の核心」はたびたび引用されてもらっているのですが、今回は盗撮を繰り返し逮捕された大学生の事件です
特集は大学生の盗撮の手口の紹介が中心であり、記事のタイトルにあるほど彼の心理に踏み込んでいるわけではありません
(引用元の記事が削除されました)
当ブログではしばしば、フランスの精神分析家ジャック・ラカンの「「欲望はそれが望む方法で達成されるまで、繰 り返し人を衝動へと駆り立てる」という指摘を持ち出し、人の行動を説明しようと試みています
今回の大学生の盗撮行為もまた、自らの内なる衝動に支配された結果だと言えます
ただし、本人は自分の行動を異常なものだと自覚してた可能性は極めて低く(盗撮が犯罪だという自覚はもちろんあったのでしょうが)、治療を受けようとか行動を矯正しようとは思わなかったのでしょう
女性の対する男性の性的関心は女性器への関心に集約されるのですが、ある種のフェティシズムにとらわれると性器そのものへの関心を先送りしてしまい、女性のストッキングや下着へ執着するようになります
当然ストッキングや下着は性器を覆い隠すものですから、彼の本来の欲望(女性の性器への欲情)も覆い隠されてしまい、ひたすら性器の外側にあるストッキングや下着にばかり固執し、追い求めるようになると考えられます
もちろん、女性という人格への関心もここでは棚上げされてしまいます。つまり1人の女性に恋をし愛するのではなく、ひたすら女性のはいているパンツに恋をし追い求めるという倒錯した行動に走るわけです
本質としては盗撮を繰り返して数多くのパンツの写真を集めるのも、下着泥棒をを繰り返すのも同じものです
ただ、その方法や手順に人それぞれの執着が見て取れます
本件の大学生の場合、「街や電車の中、大学内で偶然見かけた女の子」がターゲットであり、彼女のはいているパンツを撮影するのが最大の関心事なのです
こうしたこだわりこそフェティシズムの特徴であり、「欲望はそれが望む方法で達成されるまで、繰 り返し人を衝動へと駆り立てられる」証(あかし)でもあります
つまりマネキン人形にスカートとパンツをはかせ、撮影するだけでは彼の欲望は満たされないのであり、あくまでも偶然出会った自分好みの女の子のパンツという見えない存在が彼の欲望を刺激し、これを盗撮せずにはいられないのです
そして彼の欲望はあくまでパンツに向いていますので、彼女とセックスをするという行動は思いも及びません(それは心の中で思い描く性的幻想世界の話になるのでしょう)
言うまでもなく盗撮は犯罪行為ですから、自分が異常な行動に執着していると自覚し危機感を抱いたのなら、治療を受けるのが最善の選択です
しかし、フェティシズムにとらわれた人の多くは自分の異常な性癖に深刻な危機感を抱いたりはしません。それを人に知られないよう隠蔽に務めますが、盗撮の快感や興奮、達成感を手放すつもりはないのです
治療と書きましたが、この場合は何をどう治療すべきなのか、という問題があります
行動療法ならば盗撮という異常行動を修正し、これをしないよう矯正するのが目的になります。禁煙のプログラムを想像してもらえば分かりやすいのかもしれません
心理療法ならば盗撮という異常行動に執着するようになった原因を探り、その根本的な問題の解決を目指すと共に、女性のパンツに恋をするのではなく女性という人格に恋をし、関心を向けるよう促すのが目的になります
精神分析ならば、彼が女性という存在に関心を向けず、女性のパンツの盗撮を繰り返す行動に走った意味を問うことになるでしょう
女性と向き合い、対等な人間関係を築こうとしてこなかったのには理由があるはずです
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