中国漁民による韓国警察官殺害騒動の影響
違法操業の中国漁船を取り締まろうとした韓国海洋警察(日本の海上保安庁に相当する部署)の警察官が、中国人に刃物で斬りつけられ死亡した事件が波紋を広げています
韓国では中国を非難する市民が中国大使館を取り囲み、抗議活動が展開する事態に至っています
一方、中国ではこうした韓国の批判に不快感を示し、反発する声が沸き起こっているようです
韓国・小青島沖85キロの黄海で12日、違法操業の中国漁船を取り締まっていた韓国海洋警察官が、中国人船員にガラス片で刺され、1人が死亡、1人が負傷した。
韓国海洋警察庁の発表によると12日早朝、同庁の部隊が小青島沖で違法操業を行っていた中国漁船2隻の拿捕(だほ)を試みたが、うち1隻(66トン)を制圧したところで、もう1隻が拿捕した船に突進してきた。その直後、船上の中国人船員9人が韓国海洋警察官に反撃を開始。操舵室を捜索していた隊員(41)がガラス片で脇腹を刺され、別の隊員(33)も刺されたという。
負傷した2人は仁川)の病院にヘリコプターで搬送されたが、41歳の隊員は臓器不全で死亡した。拿捕した漁船1隻は乗員9人とともに仁川港にえい航されたという。
■暴力的な衝突が増加
黄海の漁場ではこのところ違法操業をめぐって暴力を伴う衝突が増加しており、韓国海洋警察官が死亡するのはここ4年で2例目。
韓国当局の統計によると、韓国海域内で違法操業で拿捕された中国漁船は2010年には370隻で、今年は既に475隻に上っている。10月には、韓国海洋警察が催涙弾とゴム弾を使用して棒やシャベルを振り回す中国人船員を制圧、12人を逮捕した。逮捕された船員らは全員、罰金を支払って釈放されている。
(AFPの記事から引用)
日本の海上保安庁の巡視船が中国漁船から体当たりをされ、船長を逮捕したときは中国が執拗に抗議をし、船長の釈放を要求したのを思い出します
日本政府は中国の脅しに屈し船長の身柄を釈放してしまったわけで、あの対応は明らかに誤りでしょう
中国も韓国もやることは同じで、国民を煽って激高させ、騒動を大きくしてそれを外交に反映させようとするのが常です(もちろん国民の感情をすべて統制できるわけもなく、歯止めを失って暴走させる危険はあるのですが)
韓国ではこの先しばらくの間、中国批判が吹き荒れるでしょう
「中国政府に公式に謝罪させる」のが当面の目標になると思われます
しかし中国は体面を気にしますので、一漁民の犯罪を政府が公式に謝罪するとは考えられません
そんな謝罪をしようものなら、中国国民が政府の弱腰を批判するに決まっています妥協案としてソウルにある中国大使館の職員が亡くなった警察官宅を弔問し、献花をするという手もありますが、これも「我々を見下しているのか?」と韓国人の反発を招くだけでしょう
結局のところ、中国政府は漁民による個人的な犯罪だと決めつけ、公式な謝罪などせず様子見を決め込む可能性が大だと推測されます
そして中国政府の見解は、中国メディアを介して発せられるのが常です
上記の報道にもあるように人民日報傘下の環球時報社説を掲げ、「韓国の世論は冷静になるべきだ」と主張しているようで、これ以上の緊張の激化は避けるべきだと言いたいのでしょう
日本相手には何かとコトを構えて緊張と対立を煽り、日本政府に譲歩を迫る中国政府ですが、今回はどうするのか事態の行く末を興味深く観察したいと思います
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