平岡法務大臣 自らの問題発言を謝罪

民主党所属の平岡秀夫衆議院議員はかつて、テレビ番組「太田光の私が総理大臣になったら・・・秘書田中。」に出演し、少年法がテーマとなった討論に参加。リンチ事件で死亡した被害者の母親に向かって、「その加害者の人に、その、死の恐怖を味あわせるという気持ち(厳罰を求める被害者の意見)で、あれですかね、私は、青木さんが本当に幸せというか、納得できるとはちょっと思えないんですね。むしろそういう悪いことをした子ども達は、それなりの事情があってそういうことになったんだろうと思いますけど・・・」と発言し、殺害された被害者の事情より加害者側の事情にこそ配慮すべきだとの考えを示し、批判を浴びました
この発言を巡って平岡秀夫議員の事務所に抗議の電話、メールが殺到したと言われます
そんな平岡秀夫議員が現在では野田内閣の法務大臣に就任しています
当時の発言について平岡大臣は、「バラエティ番組だから気の緩みが出た」と、意味不明な釈明をしています
番組に出演し、集団リンチで殺害された息子の無念について訴えた母親、青木和代さんに面と向かって、「加害者にも事情が…」と言ってのけた人物が、その発言を「気の緩み」だと表現するのですから被害者遺族に対する二重の冒涜でしょう
さて、平岡大臣はこの度、青木さん宅を訪問し、テレビ番組での発言を直接謝罪したのだそうです
共同通信などの報道によれば、「大津市で平成13年、高校1年の青木悠君=当時(16)=が少年2人に暴行され死亡した事件をめぐり、平岡秀夫法相が19年にテレビ番組で『悪いことをした子どもたちはそれなりの事情があってそういうことになった』などと発言したことについて、平岡氏は13日、同市の遺族宅を訪れ謝罪した。当時、ホームページ上で謝罪文を掲載、電話でも謝罪したが、自宅を訪れるのは初めて。母親の和代さん(62)に『(発言について)あらためておわび申し上げたい』と謝罪し、仏壇の前で手を合わせた。和代さんは『深い悲しみや怒りは消えるものではないことを分かっていただきたい』と話し、悠君の弁当箱や日記帳を見せた」との話です
問題の発言があったテレビ番組は平成19年に放送されたものですから、直接謝罪するまでに随分と時間が経過しています
いかに多忙な国会議員といえども、直接謝罪する気持ちがあるのならもっと早く被害者宅を訪問できたのではないでしょうか?
勘繰った見方をすれば、法務大臣就任で過去の問題発言が注目されたため、今になって火消しに乗り出したようにも感じ取れます
言うまでもなく、犯罪に走った犯人(加害者)に何らかの事情があるわけですが、それを過度に斟酌したり、受難者のごとく扱うのは間違いです
過去にも、少年時代に拳銃で4人もの人間の命を奪った永山則夫を「時代の犠牲者」であるがごとく祀り上げたり、10人以上もの人間をリンチにかけて命を奪った永田洋子を「革命の闘士」として賛美するような風潮がありました
加害者側の事情ばかりに注目し、そこに目を奪われた結果、加害者を特別視し、過大評価し、入れ込んでしまうのです(精神分析ではそうした心の動きを転移、と表現しています)
本来、加害者と距離を起き、中立の立場で報道すべきジャーナリストたちも自らの転移を自覚しないまま惚れ込んでしまい、犯罪加害者を擁護する立場で発言したり、著作を発表するようになります
平岡法務大臣が自らの発言の何を反省し、何を謝罪したつもりになっているのか、気になるところです

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