カリスマ経営者と呼ぶにふさわしいスティーブ・ジョブズ
アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズが亡くなりました
各メディアが彼の業績を紹介し、追悼する記事を載せています
【スティーブ・ジョブズ氏追悼】
正直言ってもう記事として扱うことはないと思ったが、隣の編集長からの強い依頼があったので改めてスティーブ・ジョブズ氏没後のアップルについて個人的な感想を書きたいと思う。
2011年10月5日にアップルのCEOであったスティーブ・ジョブズ氏の死去が発表された。訃報を聞いたとき、私は千葉の幕張メッセでCEATECのブースイベントに出演していたことを覚えている。まったくの赤の他人だが、それほどの驚きはなく覚悟はできていた。部位は違えど実父が同じ病気で10年前に死去していたので、ジョブズ氏が罹患した事実とその部位を発表したときには、経営の第一線で活躍できる期間はそう長くないなと感じていたからだ。亡くなる前の2011年6月に開催されたWWDCでは、iCloudをはじめとするクラウドの重要性を熱く語ったジョブズ氏だったが、結局それが最後のスピーチとなってしまった。死亡証明書の職業欄には「起業家」と書かれていたそうだ。
当時編集長を務めていたアップル系専門誌のMacPeopleでは、2011年8月29日発売号で「Steve Jobs Keynote History」という小冊子を特別付録として制作した。これは、アスキー(KADOKAWA)のアップル系専門誌やウェブメディアが過去に取材したジョブズ氏の基調講演記事を時系列にまとめたもの。意図せず追悼号になってしまった。
ジョブズ氏の功績を振り返ってみると、身売り危機があったどん底から、一筋の光が差していた互換機戦略を葬り去り、iMacで復活の足がかりを作り、iPodによって復活。iPodのWindows対応によってアップル製品のユーザー層が飛躍的に拡大した。
そして2007年1月9日にアップル初のスマートフォンとしてiPhoneが登場する。当初の販売目標は年間1000万台だったが、ご存じのように今では四半期で4000万台以上を売り上げるプロダクトに成長した。現在、ハイエンドモデルのiPhoneはローエンドモデルのMacBookを凌ぐ価格設定だが、iPhone全体ではMacBookよりも一桁多い販売台数を記録している。
国内に限ってみると、PCのシェアではMacは10%未満であえいでいるアップルだが、スマートフォンのシェアでは変わらずトップを走っている。最近はOS別のシェアでAndroidのシェアが1位になったという調査も出てきているが、あと数年はメーカー別シェアの1位は揺るぎないだろう。この他国とは異なるiPhone一人勝ちの市場を形成したのは、iPhoneを開発したアップルはもちろんだが、メールやメッセージなどの諸条件が整わない中で、いち早くiPhoneを日本に持ってきたソフトバンクの功績が非常に大きいことを忘れてはならない。
しかし、多くのユーザーが感じているように近い将来iPhoneはたいして売れなくなる。アジア地域での伸長の余地はまだあるが、Windowsマシンに対するMacのように、iPhoneが低価格で高性能なスマートフォンに置き換えられることは容易に想像できる。乱暴にいうと、iPhoneでできることは、Androidでもできるのだ。確かにiPhone XSのカメラ機能は素晴らしいが、そこを絶賛したところで食指が動くユーザーの数は次第に減っていくだろう。新興国で低価格のiPhoneを出すか、旧モデルの価格を大幅に下げてシェアを取るという戦略もあるかもしれないが、長年アップルを見てきた読者ならわかるように、おそらくその選択肢をアップルが採ると失敗する。
Macの新モデルが出るたびに買い替えていたユーザーの買い替え頻度が落ちるのと同様に、高性能化したiPhoneは3年、4年使い続けるのがそろそろ当たり前になる。アップルが公表している四半期ごとの各プロダクトの販売台数で、iPhoneの売り上げはすでに鈍化しており、いずれYoYで100%を切ることだろう。
アップルは、いまのところポストiPhoneと呼ばれるものを生み出せていない。Apple Watchがある!と答える人もいると思うが、決済と通知の機能以外においてiPhoneを代替えするほどのポテンシャルはない。スマートフォンとは異なり競合他社の勢いがなく、スマートウォッチ市場ではApple Watchが一人勝ち状態であることは事実。最新のSeries 4は米国で心電図の計測に対応するなど、今後は医療系での進化も期待できる。しかし、やはり画面が小さすぎるのだ。
もちろんアップルはそのことに気付いているはずだ。そこで現行のプロダクトでポストiPhoneを感じさせるものを無理矢理挙げるとすると、個人的にはAirPodsを推す。現在はワイヤレスイヤフォンでしかないAirPodsだが、イヤフォンというよりもウェアラブルデバイスと言っても差し支えない操作性を備えている。例えばこのAirPodsがメガネのようなウェアラブルデバイスと結合するとどうなるか。そのメガネでウェブサイトを見たり、SNSでのメッセージのやり取りができるとどうなるか。さらに電話ができるとどうなるか。
自分がスティーブ・ジョブズの評伝を読んだのは1997年頃だったと思います
アップル社がNeXTを買収した結果、ジョブスが相談役としてアップル社に復帰することになり、一部のアップルファンが大騒ぎしていた頃です
当時、市立図書館に毎週通っていて、マイクロソフト社の創業者であるビル・ゲイツの評伝なども読んでいました
アメリカのIT企業の創業者の物語は月並みのビジネス成功譚のような似通った部分も多いのですが、それを割り引いてもスティーブ・ジョブズの評伝は興味深く、波乱万丈の物語でした
個人的にアップル社の製品はまったく使っておらず、アップルファンの熱狂は理解できないのですが、アップル社が革新的な製品を提供し続けてきた事実には敬意を表します
他社のヒット商品を真似るしかできない韓国のサムスンとは大違いです
高校生や大学生のうちに1度はスティーブ・ジョブズの評伝を読んでおくとよいのではないか、と思います(彼のカリスマを強調しすぎる本もあって、その点には注意すべきです)
amazonで検索して調べたところ、自分が読んだのはジェフリー・S・ヤング著の「スティーブ・ジョブズ―パーソナル・コンピュータを創った男」(JICC出版局)から出ていた上下2巻の本だったと分かりました
ジョブズがアップル社を追われ、NeXTコンピューター社を創設したところで話が終わっています
NeXTコンピューターは革新的な製品として注目されたのですが、ビジネスとしては失敗でした。それでもジョブズはジョージ・ルーカスの映像会社を買収し、ピクサーとして成功させます
その経営手法は独裁的とも言われますが、アップル社の経営を建て直したという実績だけで十分に評価されるべきでしょう
スティーブ・ジョブズの死を悼みつつも、アメリカでは新たなジョブズ本が次々と出版されるのではないでしょうか?
決断をしない、責任を負わないことで有名な日本の企業経営者たちにもジョブズの評伝をぜひ読んでもらいたいところです(何も感じないのかもしれませんが)
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