メディアのふりまくリーダーシップ論の虚妄

「この20年で、実に14人目。またも総理大臣が代わった。日本という国には、器の小さいリーダーしか生まれないのか」
あまりに紋切り型の書き出しに、思わず吹いてしまいそうになるのがメディアのリーダーシップ論です
日本の首相の任期が短いのは確かに器の問題もあるのでしょうが、実際は強大なリーダーシップを発揮する独裁者のような人物を日本人が求めていないからでしょう
権力の集中を何よりも嫌うという、ある意味で健全な感覚がそこにはあります
中国やロシアのような独裁体制を善し、とする方が異常ではないでしょうか?
雑誌「SAPIO2011年10月5日号」にジャーナリスト落合信彦が変なリーダーシップ論を書いています

織田信長だったら朝鮮出兵は成功させていたと落合信彦氏指摘

いろいろと突っ込みどころのある内容です
そもそも歴史を弄び、「もし織田信長な本能寺で死ななかったら…」と空想を巡らせた上でリーダーシップはかくあるべし、などと書くのに意義があるとは思えません
本能寺の変で信長が死ななかったとしても、信長を恨む他の武将によって暗殺される危険はあったのでしょう
日本が鎖国をせず、アジアに進出して植民地獲得競争に明け暮れるような歴史を肯定する気にもなれません
落合信彦は、「『内向き志向』と揶揄される今の日本人の姿勢の遠因が、本能寺にあったのかもしれない。私には、そう思えてならない」と書いていますが、随分と突飛な思考です
「日本人は内向き志向であり、それに比べて中国人(韓国人)は外向き志向だ」などとする変な日本人論が流行ったりもしますが、中身は居酒屋でサラリーマンがくっちゃべっている話と大差ありません
信長のリーダーシップにより、当時の日本人が幸せになったかどうかも疑問です(戦乱の時代を終結に向かわせたという意味では、信長の功績は大なのですが)
落合信彦の言うように信長がアジア大陸進出を目指したのなら、殺戮の歴史を残す結果になった可能性が大です
さて、話を現代の日本に戻しましょう
大統領制を導入し、任期5年とか7年とか長期安定政権を実現させるべきだと主張する意見もあるのですが、それを日本人が望むとは考えられないのです
鳩山由紀夫や菅直人のような有害な政治家が大統領になり、7年も政権をほしいままにするなど悪夢でしょう
被害を最小限に留めるためにも1年か、それ以下で首相が交代した方がましです日本は強いリーダーを必要としない、世界でも稀有な国なのかもしれません

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