日本の偵察衛星打ち上げに神経を尖らせる韓国

H-IIAロケット19号機による情報収集衛星光学4号機の打上げは8月に予定されていましたが、ロケット本体に不具合が見つかったため延期されており、あらためて明日9月23日午後1時36分から49分に打ち上げると発表されました
朝鮮日報が、「日本が軍事衛星網を大幅強化」と題し、情報収集衛星の打ち上げに注目する記事を掲載しています
日本が軍事衛星を強化するのは領土問題で中国を牽制するため、と結論付けているのですが、竹島問題には敢えて触れようとしないところに韓国メディアの神経質な反応を感じます
例によって朝鮮日報Web版の記事は数ヶ月ほどで読めなくなりますので、記事を部分的に引用し、紹介します


日本が軍事衛星網を大幅強化
領土をめぐり中国と紛争を抱えている日本は、軍事衛星を利用した情報収集システムを大幅に強化する。日本政府は23日「情報収集衛星」と称する実質的な軍事偵察衛星「光学4号機」を打ち上げる予定だ。さらに、年内にレーダー3号機、来年レーダー4号機、2014年に光学5号機を発射する。
光学4号機は地上にある60センチ大の物体まで識別できる性能「分解能」を持つ。光学5号機は米国の軍事衛星並みの40センチ以下まで分解能を高めるというのが日本政府の方針だ。日本政府はまた、軍事用にも転用可能な衛星利用測位システム(GPS)衛星を2016年までに6‐7機保有する構想を持っている。日本が独自の軍事衛星網を構築するのは、中国を意識しているためとの見方がある。
■当初は北朝鮮監視が目的
日本が軍事用衛星を打ち上げたのは、北朝鮮のミサイル「テポドン」発射に対応するためだった。北朝鮮が1998年8月にテポドンを発射すると、日本はそれを待っていたかのように同年12月に軍事衛星打ち上げを正式決定、2003年に2機の衛星打ち上げに成功した。
日本の軍事用衛星システムは昼間の監視用である光学衛星と、夜間監視用のレーダー衛星を各2機ずつ保有、24時間監視システムを備え、現在までに光学衛星3機とレーダー衛星2機の打ち上げに成功している。日本政府は、衛星の追加打ち上げを急ぐ理由について「既存の衛星の性能が低下し老朽化するため」と説明している。
しかし、北朝鮮関連情報を米国と共有している日本が、天文学的な額の投資の必要な独自軍事衛星網構築に熱を上げるのは「領土をめぐり争っている中国を視野に入れているからでは」という見方もある。日本はこれまで、軍事衛星網構築だけで8000億円を投資してきたといわれている。
■宇宙開発戦略本部を本格化
日本政府は2016年までに6‐7機のGPS衛星も打ち上げる計画だ。現在は米国のGPS衛星を利用しているが、独自のGPSシステムを構築し誤差を最小限にしようというものだ。日本は昨年9月にGPS衛星「みちびき1号」を打ち上げ、軌道に乗せている。
(後略)


随分と詳細に日本の情報収集衛星について書いています。いつも電波のような記事を書く朝鮮日報にしては、珍しくまともな内容です
軍事偵察衛星は光学衛星(カメラ搭載)だけだと夜間は使い物になりませんし、地表が雲に覆われていたなら昼間も情報収集が困難です。そこで合成開口レーダーで地上を監視する衛星も必要になるわけです
また、光学衛星のカメラが地上何十センチの物を識別できるか、その解像度が話題になるのですが、地球に近い軌道を周回する衛星ならカメラの解像度が低くても小さい物体まで撮影できますし、地球から離れた軌道を周回する衛星なら解像度が高くてもあまり小さな物体は識別できません
地球に近い軌道を周回させると引力で引っ張られ、衛星は周回するほど地球に近づいて大気に飲み込まれ燃え尽きてしまいます。つまり衛星の使用期間が短くなるわけです(極端な話ですが)
そうなれば次々と代替の偵察衛星を打ち上げる必要があり、お金がかかります
韓国は1999年にアメリカのトーラスロケットで多目的衛星アリラン1号を打ち上げています。画像の解像度は6.6メートルといわれています
2006年には多目的衛星アリラン2号をロシアから打ち上げています。韓国メディアは例によって韓国の技術で開発された国産衛星であり、国産の高解像度カメラを搭載していると報道していましたが、実際はカメラをイスラエルから70億円で購入したものです。解像度は1メートルといわれます
来年打ち上げる予定の多目的衛星アリラン5号(3号と4号はどこへ消えたのでしょうか?)は、韓国として初の合成開口レーダーを積んでおり、ようやく日本と肩を並べるようになります
ちなみにアリラン3号はどうなったのでしょう?
日本が開発した第一期水循環変動観測衛星(GCOM-W1)愛称「しずく」を三菱重工が打ち上げる際、韓国の地上観測衛星「KOMPSAT3」を同時に載せる計画になっています(打ち上げは今年度中ですが未定)
韓国メディアはこの衛星をアリラン3号と表記しています。解像度70センチの光学センサーを搭載しているそうです
衛星の目的、種類に関わらず何でもかんでも「アリラン」と名付けるのは止めた方がよいと思うのですが
動画は韓国ロケット(ロシア製)ナロ号打ち上げ失敗の映像です


ロケットは打ち上げから137秒後、予定されたコースを大きく外れ南太平洋に落下しています

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