ココ・シャネルにナチスのスパイ説 新たな評伝出版

シャネルのブランドを創設したココ・シャネルについて、これまでに何冊もの評伝が書かれています
今回アメリカで出版された「Sleeping with the Enemy: Coco Chanel's Secret War(敵と寝る:ココ・シャネルの秘密の戦争)」は、そのタイトル通りココ・シャネルがナチスのスパイとして活動していた事実を立証しようとするものです

ココ・シャネルは、ナチスのスパイだった――。米国で16日に発売の書籍「Sleeping with the Enemy: Coco Chanel's Secret War(敵と寝る:ココ・シャネルの秘密の戦争)」で、シャネルが第二次世界大戦中、ドイツの占領下に置かれたフランスで、ナチスのスパイ活動を行っていたことが記されている。
著者ハル・ボーガン氏は同著で、シャネルが二重生活を送り、ナチスのスパイだったハンス・ギュンター・フォン・ディンクレイジ男爵と愛人関係にあったという長年にわたる証拠を積み上げている。
「この本は、ココ・シャネルがドイツ情報機関のスパイとなった事情、数多くの任務に就いた理由と経緯、戦後フランスでの逮捕を逃れたいきさつをまとめている」。ニューヨークの出版元クノッフは、こう説明する。
ボーガン氏はさらに、シャネルが独情報機関アプヴェーアのスパイだったことだけでなく、フォン・ディンクレイジ男爵自らも「ナチスの大物スパイ」だったことを明らかにしている。
「(フォン・ディンクレイジ男爵は)地中海とパリにスパイのネットワークを張り巡らせ、ヒトラーの右腕だったナチスの宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスに直接報告していた」
また、シャネルが過激な反ユダヤ主義だったことも書かれているが、当時ドイツに協力していた数多くの著名人に埋もれ、目立つことはなかったという。
孤児から革新的なファッションデザイナーとなったシャネルは、戦後スイスに移り、その後パリでファッション業界でのキャリアを積んでいった。いかなる不法行為で逮捕されることもなく、1971年に死去した。
(AFPの記事から引用)

自分も過去に2冊ほどココ・シャネルの評伝を読んでいますが、どちらも貧しいお針子の1人であったココがいかにして世界的なファッションブランドを立ち上げるに至ったか、その立志伝でした
もちろんパトロンとなる資産家、有力者と結びつくため、その愛人になるのも躊躇わないほど奔放な生き方をしたのであり、第二次大戦中はドイツの占領下にあってドイツ軍の将校の愛人だったという説もあります
今回の評伝はナチスのスパイ説を真正面から取り上げたのですから、従来のココ・シャネルのイメージを大きく変えるのかもしれません
とはいえ、それでシャネルのブランドイメージが低下するわけもなく、今後とも男性はシャネルのアクセサリーやバッグを女性へプレゼントし続けるに違いありません
AFPの記事でシャネルが反ユダヤ思想の持ち主だったと書かれています。しかし、当時のフランスではそれが特別というわけではなく、ナチスの人種差別政策に共感を示すフランス人も大勢いたのが事実です
フランスといえばレジスタンスが有名で、多くの国民がドイツ占領下で抵抗運動に従事していた印象がありますが、ドイツ軍に協力した人も大勢いて、ユダヤ人狩りに加わった人も決して少なくありません
戦後、フランスではナチスへの協力者を告発し、裁判にかけたりもしています
ですがココ・シャネルは告発もされず、戦後を堂々と生き延びたのですから、その世渡りの術はよほど優れていたのでしょう

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