フランスの味わい深い恋愛アニメ「ザ・イリュージョニスト」
海外のアニメーション作品を紹介するたび、「ボーイ・ミーツ・ガール」という恋愛ドラマの基本的な形をきちんと描けるかどうかで作り手の技量が計れる、との私論を書いてきました
中国のような、「小中学生の恋愛など不道徳」だと決めつけている国ではアニメーションで「ボーイ・ミーツ・ガール」を描くわけにはいかず、したがってつまらない作品を量産する結果になります
では、他の国ではどうなのでしょうか?
今回はフランスの劇場版アニメーション「ザ・イリュージョニスト」を取り上げます
フランスのアニメ作家シルヴァン・ショメが、「ぼくの伯父さん」の喜劇王ジャック・タチの遺稿をアニメ化した、少女と手品師の美しい恋物語「ザ・イリュージョニスト」の動画と予告編!!
「ザ・イリュージョニスト」はアメリカのアカデミー賞長編アニメーション部門を狙った意欲作なのだそうです
作画がとても緻密で細部までしっかり描きこまれており、独特の雰囲気を醸しだしています。相当に製作費がかかったのでしょう
ロケハンをやり、風景や建物などを写真に撮ってから原画を起こしていると思われます
が、これを全編通してやると時間も費用もかかります
登場する人物たちの台詞がほとんどないサイレントに近い作品なのですが、話の流れを理解するのが困難だと感じる視聴者はほとんどいないはずです
旅回りを続ける初老の奇術師と恋に落ちる女性の関係が危うく、儚げに描かれており、台詞がなくても2人の心の揺らぎが十分に伝わってきます
何を描き、何を見せたいかが分かっているからできる力技であり、よくぞ作ったと言えます。パクるだけしか能のない中国や韓国のアニメーション関係者には、正座をして見てもらいたいところです
2011年のアカデミー賞長編アニメーション部門は「ザ・イリュージョニスト」と「ヒックとドラゴン」、「トイ・ストーリー3」がエントリーされ、「トイ・ストーリー3」が栄冠を手にしています
アカデミー賞はハリウッドによるハリウッドのためのお祭りですから「トイ・ストーリー3」に花をもたせるのは分かりますが、作品としては「ザ・イリュージョニスト」の方が数段上の出来であり、次元が違うと自分は思います
「トイ・ストーリー3」を腐しても仕方のない話なので、これ以上は書きませんが
「ボーイ・ミーツ・ガール」ならぬ大人の恋を描いた作品として、日本のアニメーションファンにもぜひ見てもらい1編です
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