中国高速鉄道事故 ネットで世論を操作する政府

中国で起きた高速鉄道による事故は、信号系統の制御プログラムに欠陥があったためだ、と鉄道省が発言しており、落雷による事故などではなくシステムの欠陥による事故の可能性が濃厚になっています
ただ、それで中国での政府批判が沈静化するかどうかは不明です
政府批判を抑えるため、中国政府はインターネットの掲示板などで政府寄りの書き込みを実施する工作員まで雇っているのだとか
そんな中国流世論操作術について、報道されています。まずは表の世論工作、そして裏の世論工作を伝える記事を2つ貼ります


中国浙江省の高速鉄道事故で、鉄道省を中心とした政府の対応に国民の厳しい批判が広がる中、中国当局が事態の沈静化に向け、世論の流れを変えようと躍起になっている。国営通信の新華社や中央テレビが当局の意向を受けて積極的に事故原因に関する報道を開始する一方、報道規制も強化され、硬軟両様の手段で世論操作が本格化している。
中国メディア関係者によると、当局のこうした動きは温家宝首相が事故から6日目の7月28日に初めて事故現場を視察し、調査の全過程を公開すると約束したことがきっかけ。

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報酬をもらって政府擁護の書き込みをする仕事に、中国全土で何人が就いているのかは分かりませんが、共産党の独裁体制を維持するため随分とお金を使っているのだな、と呆れてしまいます
工作員の平均月収がサラリーマンを上回るほどだそうですから、職に就けない若者にとってはよい稼ぎなのでしょうが
全国で数万人規模の工作員を配置すれば、世論操作にも多少は効果があるのでしょう
職に就けない若者は政府批判に走りがちですから、それを阻止するのにも役立ちます
しかし、いくら政府を擁護したところで、中国の高速鉄道が安全になったりはしませんし、中国政府の抱える根本的な問題が解決するわけもありません
年間1千件以上もの暴動・騒乱が発生する中国ですから、政府批判が大規模な動乱の引き金になるのを怖れ、警戒しており、そのための対策に多額の予算と注ぎ込んでいるのでしょうが、本末転倒と言えます
しかし、中国共産党・政府の腐敗や民意を無視したやり方を改めない限り、批判の火種はいくらでも発生するのであり、きりがありません
現に、信号系統に欠陥があったと言いながらも高速鉄道の運行は継続されており、新たな事故が発生する危険があるのですが、政府はこれを放置しています
信号システムの改修が済むまで運休にするという発想などありません
そんなことをすれば、高速鉄道事業を推進してきた胡錦濤体制に傷がつき、自らの誤りを認める形になってしまうからなのでしょう
政府・共産党の面子を保つためにも、高速鉄道は運行を継続させるというのが彼らの考えです
国民が何人犠牲になろうと構わない、と考えているのは明らかです
別の報道では日本の領海である尖閣諸島沖に中国政府機関の調査船が接近しているそうです。領海侵犯を繰り返し、日本を挑発するのが狙いなのでしょう
中国のメディアはそれを大々的に報道し、国民を日本批判へと駆り立てようとするに違いありません

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