松戸女子大生殺人事件を考える3 死刑判決

千葉県松戸市で平成21年、千葉大4年の荻野友花里さんを殺害したほか、強盗強姦事件を繰り返した竪山辰美被告(50)に対し、千葉地方裁判所は死刑判決を下しました
死刑判決の目安とされる「永山基準」では被害者が複数の場合、死刑判決もやむを得ないとしているわけですが、本件では死亡した被害者が1人です
また死刑廃止を叫ぶ市民団体が騒ぎ立てるのかもしれません
しかし、強盗致傷事件で服役していた網走刑務所を出所した樫山被告はまともに就労もせず、2カ月で8つの事件を起こすという凶悪な行状ですから、更生の可能性なしと判断されるのは当然でしょう


千葉県松戸市で2009年10月、千葉大4年の荻野友花里さん(当時21)が自室で殺害、放火された事件で、強盗殺人などの罪に問われた住所不定、無職、竪山辰美被告(50)の裁判員裁判が22日、千葉地裁(波床昌則裁判長)で開かれ、検察側は死刑を求刑した。
検察側の論告求刑に先立ち、午前中は遺族らの意見陳述が行われ、友花里さんの母、美奈子さんが喪服で出廷。白い数珠を手に「大学卒業後は教壇に立つはずだった。遺体は損傷が激しく抱き締めることもできなかった。死刑しかありません」と涙ながらに訴えると、傍聴席からおえつが漏れ、ハンカチで目を押さえる裁判員もいた。
竪山被告は8日の初公判から一貫して「包丁の奪い合いになり、刺さってしまった」と主張し、殺意を否認している。
起訴状によると、竪山被告は09年10月20~21日、荻野さん宅に侵入し、包丁を突きつけて現金やカードなどを奪った上、荻野さんの左胸を包丁で数回刺して殺害し逃走。22日に現場に戻り室内に放火したとしている。
竪山被告は、荻野さんを含め9人の被害者への強盗強姦や窃盗など11の罪名で起訴され、一括して審理されている。


弁護人の仕事を揶揄するつもりはありませんが、樫山被告を「人間性を回復しつつあり、更生可能性はある」と弁護するのはいかにも無理があります
荻野友花里さんを殺害して奪った金を使い果たしたなら再び強盗を企てたのは明らかであり、反省など欠片も感じられません。もちろん自首する気などなかったはずです
樫山被告が何を考えているのかは不明ですが、「死刑判決は永山基準に違反し不当だ」として控訴し、争い続けるのかもしれません
裁判で樫山被告は殺意を否認し、「「荻野さんと包丁の奪い合いになり、弾みで胸に刺さった」と主張し、包丁を奪おうとした荻野さんに非があるかのような発言をしています。これも随分と身勝手な言い分です
遺体の刺し傷は深く、とても包丁の奪い合いで偶然刺さったとは考えられないほどのものです。力を込めて正面から思い切り(殺意を込めて)刺したと考えられます
さらに樫山被告は荻野さんの部屋に放火をしています。万が一にも荻野さんが蘇生したとして、部屋とともに焼死せざるを得ない状況を作り出しているわけです
これで「殺意はなかった」と言い張るのですから、呆れるほかありません
卑劣な犯行であり、その罪と向き合おうともしない樫山被告が「人間性を回復させつつある」などと弁護するのはあまりに見当違いでしょう
他方で、今月千葉県木更津市内で女子大生を殺害し逮捕された本田祐樹容疑者に関しては警察が情報をメディアに漏らさなくなったためか、続報が出ません。おそらく取り調べでは犯行を否認し続けており、警察も本田容疑者の犯行を裏付ける物証が得られず、捜査が行き詰まっているのでしょう
「疑わしい人間を拘束し、締め上げて白状させればよい」という捜査では困ります

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日本評論社
堀川 惠子

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