被災したこどもをサマーキャンプに招待する文部科学省
文部科学省は東日本大震災で被災した福島県の小中学生を対象に、夏休み期間中に県内2つの自然体験施設へ無料で招き、サマーキャンプを実施すると発表したと報道されています
福島の子供たちをサマーキャンプに招待
高木義明文科相は会見で「子供たちに心身のリフレッシュを図ってもらいたい」と述べたそうですが、こうした試みは官僚の発想であり、高木大臣自身は何の思慮も持ち合わせていないのではないかと感じます
以前にもタレントの清水國明が被災したこどもたちを山梨・富士河口湖町で営む「森と湖の楽園」に迎え入れる構想を打ち出しており、当ブログで批判しました
被災したこどもたちを集め寄宿舎で生活させる愚策に反対
自然に恵まれた環境の中でのびのびと過ごすことがこどもたちには必要であり、好ましい結果をもたらすという発想を疑わない人たちには、素晴らしい思いつきに映るのでしょう
ですが、本当にそうなのか、きちんと吟味し検証する必要があります
被災したこともたちが必要としているのは、被災前の日常への回帰です
もちろん家が壊れてしまったり、原発の影響で家から離れて生活せざるを得ない事態があったりして、元の生活へ戻るのは困難な状況があります
だからといって、サマーキャンプという非日常の生活を3日間過ごすことが何かの解決に結びつくわけでもありません
被災前の生活へ回帰できないとしても、できるかぎり日常に近い暮らしを提供するべきだろうと思います
日常から隔絶した非日常の生活へとこどもたちを送り込むのを、「素晴らしい試み」だと決めつける態度にはうんざりさせられます
慣れない空間に押し込まれ、キャンプだの登山だのと大人の考えたプログラムを分刻みで押し付ける3日間の行事が、「こどもたちにとって有益だ」と考えるのは大人の感性が鈍化している証拠でしょう
こどもたちはスケジュールに振り回され、疲れてしまうだけです。大人の自己満足に付き合わされるためだけで
心理療法の1つに臥褥療法というものがあります
森田療法でも第1段階として行われているもので、施設に入った患者は最初の1週間を寝たまま過ごすよう指導されます。食事や用便、入浴などの機会以外はただひたすら横になって過ごすのです
それは日常から切り離された自分をひたすら見つめ、精神的な均衡を求めようとする試みです。キャンプだ、登山だ、自然観察会だ、昆虫採集だとプログラム山盛りのサマーキャンプとは真逆の発想です
ですから自分として3日間の分刻みで動くサマーキャンプより、3日間何もしないで寝て過ごすキャンプの方がはるかに有意義だと考えます
最善はこどもたちに被災前の生活(日常)を取り戻してあげることなのですが、それは誰にもできません。次善の策としては、できるだけ日常に近い生活を与え、家族や友人や知人と過ごせる環境を提供するよう努力するべきです
日常からかけ離れた遠くの施設にこどもたちを隔離し、集団生活をさせるのは方策として下の下でしょう
もちろん前にも書いたように、勉学のためや一流のスポーツ選手、音楽家になるために自ら進んで全寮制の学校へ入るこどもたちも存在します。ですが、それは彼ら彼女らの意志によるものであり、強制ではありません
(関連記事)
首相夫人へ「福島の集団疎開を」と訴える天木直人
キャンプで小学生を殴ったPTA会長(無職)逮捕
「仙台にパンダを」 ジャニーズ事務所が寄付金活用
今も存在する戸塚ヨットスクール
被災地にランドセルを贈るNGO ランドセルが余っている現実
原発批判は芸能界のタブーなのか? 原発に関わったタレント
宝塚音楽学校のいじめ 呆れた実態
浜名湖ボート事故 何のための学校行事か?
学校でのロールレタリング
運動会に人間ピラミッドは必要か?
スクルカウンセラー配置も不登校児は減少せず