日仏合作アニメ「Time Jam」のB級SF感覚
昨日は、「日本風アニメが日本アニメを駆逐する?」というテーマで書きました
中国では日本製のアニメーションのテレビ放映を禁止しており、中国市場に進出するには、中国の会社と手を組み合作という形にするしかないのだそうです
そのため、「中国は巨大市場だ。乗り遅れるな」と叫ぶ経済評論家などは中国企業と積極的に手を組むべきだと主張しています
まあ、そのようなビジネスについては門外漢なので言及はしません
実際にはこれまでにも日本のアニメーション製作会社が海外の会社と手を組み、合作が行われてきましたので、それらを取り上げ、検証し、吟味したいと思います
手始めとして、日仏合作のアニメーション「Time Jam」を取り上げます
思い切り既視感のある映像が展開しています
原作はフランス独自の漫画であるバンド・デシネの人気シリーズ「VALÉRIAN ET LAURELINE(ヴァレリアン&ロールリーヌ)」で、これをアニメ化したものです
バンド・デシネのアニメ化の話題2つ
動画を見て「スター・ウォーズ」のパクリと感じる方もいると思いますが、そもそも「スター・ウォーズ」自体が「スペースオペラ」と呼ばれるSF作品群にある宇宙船、古代文明、王女、剣と冒険などなどのファンタジーの要素を抽出して組み合わせたものです。どれが本家本元かを論じてもあまり意味はありません
エンターティメント作品ですからファンタジーの要素を生かし、面白いものに仕上げれば十分だと思います。視聴者をがっかりさせないためにはそこに独創性なり、オリジナルのキャラクター、物語の奥深さなども必要となりますが
さて、この「Time Jam」には日本のアニメーション製作会社「サテライト」が参加しています。知らない名前なので検索したところ、「マクロスF」などの作品を手がけている会社だそうです
英語のWikipediaで調べると、ディレクターや演出、メカデザインなど日本のスタッフが担当しているのが分かります
日本でテレビ放送されたという話は見当たらなかったので、日仏合作であるにも関わらず日本未公開作品なのでしょう
テレビ東京が夜の7時台に放送するアニメーションではありませんし、深夜の時間帯でもどうかな、と思ってしまいます。視聴者を想定しにくい作品なので、テレビ局も頭を悩ますのではないでしょうか?
NHKがBSで放送するなら納得ですが
せっかく外国の会社と手を組んでも日本で放送されないのはもったいない話です
が、原作が日本では馴染みのない作品であり、「マクロス」や「ガンダム」シリーズが人気を得ている日本でこの「スペース・オペラ」風の「Time Jam」がウケる可能性はかなり低いと言わざるを得ないでしょう
あるいは「ボトムズ」シリーズのキリコ・キュービーに比べると、主人公のヴァレリアンはかなり安っぽく見えてしまいます(比べてどうする、と突っ込まれそうですが)
比較するなら「コブラ」か、「カウボーイ・ビバップ」なのかもしれません
やはり外国の企業と手を組み、作品を手がけるのはリスクが大きい(日本で公開の目処すら立たない)と言える一例だと思い、紹介しました
経済評論家などは、「事前に市場調査をきっちりやり、視聴者の嗜好に合致した作品を手がけるべきだ」と言うのでしょう。しかし、市場調査の結果でヒット作が生み出せるなら誰も苦労などしません
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