千葉女子大生遺棄事件を考える3 支配と暴力

千葉県木更津市で千葉商科大2年の菊池果奈さん(19)が殺害され、遺棄された事件の続きです
死因は顔に被せられたレジ袋による窒息と考えられる、と報道されています
シンナーやトルエンといって有機溶剤を吸引させ、意識が朦朧としたところで顔に袋を被せ、窒息させたのかもしれません。当然、殺意があっての仕業です
先に書きましたが、男性が女性を一方的に暴力で支配する形を「愛」だと誤認し、それが原因で暴力沙汰や殺人事件に至るケースがあります
新潟の少女監禁事件では、犯人である佐藤宣行が小学4年生の女児をナイフで脅して拉致し、自室に連れ込んで数十発殴り、「声を出すな、逃げようとしたら殺す」と威圧して支配しようとしています
この時の行動を佐藤宣行は、「同世代の友達としてつきあいたかった」と説明しています。18歳も年下の小学4年生のこどもを、「同世代の友達」と表現するところに彼の歪んだ思いが見て取れます。おそらく彼の自意識は、思春期の少年のまま成長を止めてしまったのでしょう
殴りつけ手足を粘着テープで拘束した上、少女には繰り返し、「(逃げようとすれば)お前のお母さんやお姉さんも連れてきて同じ目に遭わせてやる」と脅し、抵抗できない状態に追い詰めています
こうした行為をしながら佐藤宣行は、「怖がられているとは思わなかった」と述べており、自分の一方的な暴力による支配を「愛情表現」と思い込んでいた節が伺えます
もちろんこれは極端な例なのですが、女性に暴力をふるい支配しようとする男性の多くは自らの行為をゆえなき暴力だとは思っておらず、相手を支配するための正当な手段とみなしていると考えられます
そして相手の女性を支配し、自分の意のままに従わせる形こそ、「愛」だと信じて疑わないのです
四六時中携帯電話をかけまくり、「今どこにいる?」と確認し、「誰といるのか?」と疑い、「すぐ帰ってこい」と要求し、「なぜすぐ携帯に出ない?」と勘繰るのも、彼らにすれば「愛情表現」です
母親の姿が視界から消えると泣き喚く幼児と同じです。幼児は母親を常に自分の側に置くため、泣き喚くのです
もちろん、大多数の人は成長とともに他人を慈しんだり思いやる態度を身につけ、他人の立場を尊重するがゆえに自分も尊重されるのだと学ぶのですが、そうならない者もいるわけです
一般には「甘やかされて育ってきたからだ」と決め付けられるのですが、必ずしもそうではありません。むしろ、十分に甘えられなかった、愛情の飢渇が満たされなかったと考えられるケースもあります

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