日本風アニメが日本アニメを駆逐する?
日本以外の国が日本風のアニメーションを製作しており、それが将来は日本アニメの市場を侵食し、奪うかもしれないとの記事がウェッブサイトに掲載されています
日本アニメ風の作品に市場を奪われた日本アニメ
海外のアニメ賞を多数受賞した『アバター 伝説の少年アン』は2Dのアニメーションで、動きやキャラクターは日本的です。世界観もアジアンテイストになっています。明らかに日本のアニメを研究していて、市場にも受け入れられている。そして、玩具と連動させる日本の十八番をそのまま取り入れています。
Avatar: Last AirbenderといえばCG合成を駆使した3Dの実写版を思い浮かべるのでですが、劇場版アニメーションが製作されているのを初めて知りました
日本ではあまり注目されていないのですが、海外では人気があったようです
実写版「Airbender」
要するにドラゴンボールやナルトのような、派手なアクションと忍術や超能力を組み合わせた活劇を自分たちの手で作りたいのでしょう
その作品を面白いと思う人が多ければヒットするのは当然です
しかし、実写版「Airbender」は日本でヒットせず、公開から2週ほどで興行収入ベストテンから消えました。ハリウッドの関係者はこのアクション映画が日本でもウケると自信満々だったため、この結果がショックだったようです
実写版の話をすれば、舞台がイヌイット(エスキモー)の世界を借りているのに出演している俳優が白人ばかりだと批判を浴びており、第31回ゴールデンラズベリー賞で8部門にノミネートされ、うち5部門(最低映画賞、最低脚本賞、最低監督賞、最低助演男優賞、最も3Dの使い方が間違っている映画賞)を受賞したそうです
アニメーションのドラゴンボールやナルトを見てきた日本人にとって、「Airbender」はどこかで見たような作品であり、パクリとは言わないまでもパチもん臭い3流品のように感じられてしまったのかもしれません
ハリウッドの関係者にすれば、「日本人をも唸らせ、感動させた作品」との評価が欲しかったのでしょうが
同じ理由で、劇場版アニメーションの「Airbender」を日本で公開してもウケるとは思えません。上映時期が「ポケモン」や「ナルト」などの劇場版と被ったなら、惨敗に終わるのは確実です
海外の視聴者が「Airbender」を面白いと感じ、絶賛するのはそれぞれの価値観によるものなので、批判するつもりはありません
それに日本のアニメーションが現在の路線をねじ曲げてまで、外国ウケする作品を作るべきだとも思いません
中には、「海外のアニメーション製作会社ともっと手を組むべきだ」と主張する人もいるのですが、それが好結果に結びつくのでしょうか?
脚本や演出に口出しされた挙句、クオリティの低い作画でグダグダの作品が出来上がる予感がするだけです
ビジネス展開をどうすべきか、という話は門外漢なので語るつもりはありませんが、海外のアニメ製作会社と手を組んで優れた作品が生まれる可能性は、経済評論家やジャーナリストが夢想するよりはるかに少ないだろうと自分は思います
なぜ彼らが単純に、「海外の制作会社と手を組めば素晴らしい作品生まれ、もっと売れる」と思い込むのか不思議でなりません
一番最初に引用したアスキーの記事も、何を言いたいのかよく分かりません
日本のアニメ製作会社を合併・統合して巨大化させれば、テレビ局に対する発言権は強まるのかもしれませんが、それで何かが解決するのでしょうか?
今後とも韓国のように、ひたすら日本風アニメーションを作って儲けようとする国は登場してくるわけですし、それを防ぐ手段などありません
日本はやはり日本のやり方で、日本の視聴者を唸らせる作品を生み出し続けるしかなと思うのですが(当たり前すぎる結論です)
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