「きまぐれオレンジ・ロード」を熱く語るアリゾナの老人
日本と海外の制作会社による合作を幾つか紹介してきたのですが、そちらは一休みして、日本のアニメーションが海外でどのように視聴され、評価されているかについて紹介します
youtubeには海外のアニメファンによる作品のレビューが多数投稿されていますが、その中でも特に秀逸なのが「アリゾナの老人」です
すでにご存じの方も多いとは思いますが、アリゾナの老人が熱く語る「きまぐれ・オレンジロード」の素晴らしい批評をみなさんに紹介します
作品紹介という域を超え、優れた批評が展開されています
時間にして10分少々なのですが、TVシリーズから劇場版まで縦横に語りまくっています
ビデオカメラの前に飄然と登場し、立ち話でもするように作品について語り始めるのが常ですが、実は入念に原稿を用意し、何度も撮り直しを重ね編集しているのでしょう
それだけの手間をかけてまで、日本のアニメーションについて語ろうとする情熱がひしひしと伝わってきます
さて、「きまぐれオレンジ・ロード」に話を絞りましょう
日本の高校生の恋愛模様を描いたラブコメディを、「アリゾナの老人」が登場人物の言動に一喜一憂しつつ、物語の行方を見守ってきた様が見て取れます
マニアックな知識自慢でもなく、作品への共感と、その一方で冷静で審美眼でとらえた意見が開陳されています
テレビシリーズでは春日恭介、鮎川まどか、檜山ひかるの三角関係が続くのですが、劇場版アニメーション「あの日にかえりたい」では恭介がひかるを捨て、まどかを選ぶ展開になっています
ひかるに対する恭介の激しい拒絶ぶりは残酷とまで言えるものですが、それを堂々と描ききった「あの日にかえりたい」は単なる人気テレビアニメの劇場版という枠を超え、青春映画として傑作だと自分は思います。「アリゾナの老人」が劇場版を高く評価しているのも理解できます
もっとも、原作マンガの作者はこの「あの日にかえりたい」には納得できなかったようで「まどかなら後輩で親友でもあるひかるをたて、自らは身を引くはず」だと述べています。
つまり原作者の立場からすれば、恭介とひかるが結ばれる展開こそ正道であり、まどかと恭介が結ばれてひかるを捨てる展開など有り得ない、と考えるわけです
原作者には原作者の世界観があるのでしょうし、それは尊重されるべきでしょうが、原作者のストーリー・コンセプトに逆らった「あの日にかえりたい」によってこのラブコメディは完成を見たと自分は感じます
それにしても「アリゾナの老人」がどのような経歴の人物かは知りませんが、日本のアニメーション作品への並々ならぬ愛情には敬服させられます
自分もいつかは彼のように、カッコよくアニメを批評できる老人になりたいと思います
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