新潟少女監禁事件を考える1 犯人の異常行動
先日はカリフォルニア州で少女が18年も監禁されていた事件について言及しました。海外では時折こうした監禁事件あり、その報道に驚かされます
ほかにもベルギーで誘拐されたサビーヌ・ダルデンヌの事件(12歳の少女が学校へ行く途中で拉致され、80日間にもわたってひどい性的虐待を受けた事件)などがあります
日本では2000年1月、新潟県柏崎市で9年2ケ月も監禁されていた女性が保護されて世間を震撼させた新潟少女監禁事件があります
新潟少女監禁事件
この事件の意味を、順を追って読み解いていくことにします
最初に犯人の異常行動とタイトルを付けたのは、事件の犯人である佐藤宣行受刑囚が不潔恐怖(強迫神経症)の既往症があり、それが異常な行動に結びついているためです。同時に、この監禁事件を読み解く鍵もそこにあるからです
少女が監禁されていた佐藤宣行の部屋は、母親が掃除のために立ち入ることもなかったためゴミだらけで埃だらけだったと報じられています
不潔恐怖の既往症がある佐藤宣行がゴミだらけの部屋で暮らしていたというのも矛盾しているようですが、強迫神経症はこのように恐怖や嫌悪の対象を選別するものです。他人の不潔な服装には過敏に反応する人が、自分の服装には無頓着だったりするケースもあります
佐藤宣行の父親も不潔恐怖だったとされます。タクシーの洗車を専務である父親自らやっていたのは率先垂範の意味より、汚れた車が我慢ならないという症状のためでしょう。おそらく東京で大会社の運転手をしていた時も、暇さえあれば車を洗っていたと思われます
不潔恐怖の男性が10分も20分も手を洗い続けるのと同じです
佐藤宣行の不潔恐怖に関しては、虫を異常に毛嫌いしたとあるだけ、詳細は不明です。少なくとも部屋の掃除にはまったく関心がなかったのでしょう
そして、監禁した少女には「用便すらも部屋から出さず、ビニール袋の中にさせた」とあります。そのビニール袋は外に捨てず、部屋の外(廊下の部分)に山積みにされていたそうです
事件に関する報道や、言及した個人のサイト、ブログでもあまり注目されていないのですが、佐藤宣行の糞尿を捨てずに貯めておく行動こそ、この事件の核心だと自分は考えます
糞尿はこの場合、精神分析で「愛情、及びその対価」と考えられます。もし誰かが廊下に置かれた糞尿の入ったビニール袋を捨てたなら、佐藤宣行は激怒し大暴れしたに違いありません
彼にとって糞尿を捨てられるのは、自分の財産や自分に注がれる愛情を奪われ、捨てられるのに等しいのですから
糞尿への執着は幼児期に見られるものですが、佐藤宣行の場合、糞尿への執着が克服されず、成人になっても引きずっていたと考えられます
そして、それは自分が手に入れた女性を部屋に監禁し続けるのと同じ意味を持っているのです。「愛情、及びその対価」であるところの女性も、自分の手許に置き続け、決して手放そうとはしないわけです
すべての監禁事件の犯人に共通する心理だ、とは言いません
佐藤宣行の場合は、お金=愛情=糞尿=女性という考えが根底にあり、そこに異常なほど執着しているのです
上記のウェッブサイトでは、佐藤宣行が女性の衣服をスーパーで万引きしていたと書かれています。表向きは、「スーパーで女性物の衣服を買ったら目立つから」との理由ですが、本当はお金を払って購入するのが嫌だったと推測されます。お金を払うのは、せっかく貯め込んだ「愛情、及びその対価」を手放すわけですから
お金を払わず衣服を万引きすることに佐藤宣行は満足感を覚えていたはずです
「それなら競馬で金を浪費するのはどう説明するのか?」と問われかもしれません
そこが強迫神経症の患者の奇異なところで、不潔恐怖の人間がゴミだらけの部屋で平気で暮らしていたり、ケチなはずの佐藤宣行が競馬では大金を注ぎ込むという、矛盾した行動が観察されます
この場合、競馬で金を使うのは父親への復讐という意味合いがあったと思われます
老いてこどもをもうけた父親は佐藤宣行にとって憎悪の対象であり、父親亡き後はその財産を使うことで父親への復讐を遂行しているつもりだったのでしょう
この事件についてはまだ語るべきことがありますでの、今回はここまでにします
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