作曲家マーラー没後100年 「私の時代が来る」

作曲家グスタフ・マーラーが亡くなってから今年が100年の節目に当たるそうです

CDが売れない冬の時代と言われ、クラシック音楽が大衆的な人気を博す機会がくる

可能性は皆無です

それでも生前ほとんど評価されなかったマーラーの曲が多くの人に聴かれ、演奏され

る機会も増えたのは事実であり、マーラーが「私の時代が来る」と言い残したとおりに

なったと言えます



日本で作曲家マーラーが馴染みのある存在になったきっかけの1つに映画の存在が

あると思います

イタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「ヴェニスに死す」は、ドイツの小説

家トーマス・マンの作品を映画化したものです。マーラーの交響曲第5番の第4楽章

アダージェットが流れるシーンの官能美は、「世紀の美少年」と呼ばれたビョルン・ア

ンドレセンの容姿とともに映画史上最高のものでしょう

このアダージェットはマーラーが妻に宛てて書いたラブレターだと言われています

そしてもう1つ、イギリスの鬼才ケン・ラッセルの映画「マーラー」も自分にとっては忘

れられない作品です

これは表現の手法がヴィスコンティとはまったく違いますので、好き嫌いが分かれる

でしょう

作曲家マーラーはユダヤ人でありながらウィーン宮廷歌劇場指揮者となったため、中

傷にさらされることもあり、あるいは作曲した交響曲が聴衆にまったく理解されなかっ

たりと、数々の悩みを抱えていた人物です

そしてウィーンに住む精神分析家フロイトの許を訪れ分析を受けたのですが、その内

容がどのようなものであったのか、マーラーの妻が残した手記に一端が書かれてい

ます

グスタフ・マーラー-回想と手紙
http://www8.plala.or.jp/bone_trom/my_music/mahler4_doc/froit.htm

一部には、「フロイトはマーラーの音楽的才能を妨げるのを懸念し、マーラーの精神分

析を断った」という説が流布されていますが、それは都市伝説です

マーラー夫妻とフロイトが登場する映画「マーラー 君に捧げるアダージョ」が公開され

ています

「マーラー生誕150年・没後100年記念作品」だそうですが、なかなかの力作のよう

です。残念ながら関東、関西で2館、九州で1館のみの上映であり、観る機会があり

ません

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