霊媒師見習いの男を逮捕、女子高生に裸の写真送信させる

「怖い夢をみる」と相談を持ちかけてきた女子高生に、「除霊するためには裸の写真を送りなさい」などと言い、女子生徒が自分で撮影した裸の写真10枚をメールで送信させた自称霊媒師の男が逮捕されるという事件がありました

霊媒師見習いの男を逮捕、女子高生に裸の写真送信させる

人の心の弱みにつけ込む卑劣な犯罪です
携帯電話の出会い系サイトで知り合った女子高校生や女子中学生に、「裸の写真を送れ」と言葉巧みに持ちかける犯罪はこれまでに何件もあります
カメラ付き携帯電話が普及したからこそ、こうした犯罪が起こるのでしょう
「簡単に騙される女子高生が悪い」と言う人が必ずいるのですが、こうした事件は騙す側が絶対に悪いのです
特に霊媒師という人の悩みに向き合う仕事をする以上、誠実に対応しなければなりません。でないと、自分でインチキ商売だと証明してしまう結果になります
どのような職業にも踏み外してはならない倫理があります
さて、この女子高生がどのような「怖い夢」を見たのかは不明ですが、精神分析では悪夢や怖い夢を悪霊の仕業だと考えたり、不吉の前兆だと考えたりはしません
夢は睡眠時に脳が活発に活動しているため生み出されるもので、多くは断片的な記憶を繋ぎ合わせて構成され、過去の一場面を示唆するものだったりします
過去の一場面とは寝る前にテレビで見たドラマのシーンや、昼間の記憶の残滓だったりで、それらが脈絡もない寄せ集めとなって「夢」として描かれます
ですから、悪夢を見たとしても精神を病んでいるわけではありませんし、何か不幸が身に振りかかると懸念する必要はないのです
精神分析家フロイトは多くの夢の分析を行い、患者の語る断片的な夢からその人が無意識に抱えている問題を解き明かそうと試みました
フロイトは臨床家として大変にイマジネーション豊かな人物で、患者の語る夢の断片を決して無意味な物とは見なさず、患者の成育史などと重ねあわせて、物語として再構成する手腕を持っていました
前にも書きましたが、書店に並んでいる粗悪な精神分析入門書では、「旅行する夢を見る人は○○な精神状態である」とか、「蛇の夢を見る人は△△な精神状態である」などという乱暴な決めつけが行われていたりします
しかし、そんな決めつけは精神分析ではありません
「旅行する夢」を見るにしても、その人が最近旅行を経験したか、テレビで旅行番組を見たかによって、夢の意味が違ってきます。あるいは過去に旅行でなにか重大な経験をしたのかもしれません
その人の経験を問うこともなしに、「旅行する夢を見る人は○○な精神状態である」などと精神分析家は決めつけたりしないのです
最近では地震や津波を経験したり、そうした報道番組を見て、災害に直面する夢を見る人が増えているのかもしれません。それは災害に直面したら自分はどうすべきなのか、という問いに対して脳が無意識の内に答えを探そうと活動している結果だと考えられます。つまり災害に対し、何らかの意味を見出そうと脳が活動しているのです
ですから、悪夢をネガティブなものと恐れたり、警戒する必要はありません。むしろ問題を解決しようとする健全な脳の活動の結果だと言えます

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