「涼宮ハルヒの驚愕」を読んで

小説本が売れない時代にあって、ライトノベルとはいえ初版51万部を刷ってしまうのですから「涼宮ハルヒの驚愕」は大いにヒットしたと言えるのでしょう

『涼宮ハルヒの驚愕』最速レビュー

インターネットではあちこちのブログなどに感想が書かれています
自分も先ほど読み終えましたので、感想なりを書きます
まず、前作である「涼宮ハルヒの分裂」を自分は失敗作だと思っています。続編である「驚愕」を読み終えた現在でもその評価は変わりません
「涼宮ハルヒの分裂」は、主人公である涼宮ハルヒと語り手である男子高校生キョンの、新入部員募集にかまける日常がαとβという、2つのルートに分岐して進行します。なぜ日常が2つに分岐したのか、説明はありません
すべての謎は続編である「驚愕」に持ち越されたのですが、発売予告は無視され4年を経てようやく出版されたわけです
正直、読むのをやめようかと思ったほど期待感はありませんでした
それでも、と手にしたのですが、やはり読後の爽快感より不満やら疑問の方が多くて、「涼宮ハルヒシリーズ」の中では黒歴史に含めた方がよさそうに思います
作者谷川流は何が何でもこのαとβに分岐して進行する物語を書きたかったのでしょうが、自分にはその必然性がさっぱり理解できません
物語のラスト近くでこのαとβの分岐した世界が統合されるわけですが、納得出来る理由もなく、「なんだこの展開は?」と感じただけです
そもそも藤原、周防、橘京子たちはなぜキョンを誘い、「涼宮ハルヒの力を別の人物に移すのを承諾せよ」と迫るのでしょうか?
キョンの承諾などなしにさっさと実行すれば済む話です。それについて物語では説明がありません
キョンが何やら鍵を握っていると示唆されてはいますが、明確な理由は書かれていないのです。敢えて憶測すれば、キョンの承諾なしに涼宮ハルヒの力を奪ったならそれが既定事項に反し、歴史改変を引き起こしてしまうからなのでしょう。だが、それでも疑問は残ります
歴史改変が起こったところで「天蓋領域」である周防には何の損得もありませんし、佐々木を盟主に祀り上げようとする橘京子にも不都合はありません。未来を変えたいと思っている藤原には好都合でしょう
ならば、彼らは何のためにキョンを説得しようとしたのでしょうか?
もし涼宮ハルヒが力を失うのが既定事項なら、キョンの承諾など必要ありません
どちらにせよ、このストーリー展開には無理がありすぎ、辻褄が合わないと思われてならないのです
新たに登場した渡橋ヤスミが涼宮ハルヒのもう1つの人格だった、というオチにもがっかりです。まだ異世界人の登場であったくれた方がすっきりし、楽しめたはずです
当ブログを読んでいただいた方には愚痴ばかりで申し訳なのですが、せっかくの作品世界を生かしきれていない「涼宮ハルヒの驚愕」には失望したと結論付けるしかありません。もっと別な展開があったはずです

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