神戸連続児童殺傷事件 被害者の父親が手記
1997年に起きた神戸の連続児童殺傷事件で殺害された土師淳君(当時11歳)の父親が、手記を公表しています
事件から14年を経たわけですが、遺族の気持ちは傷ついたままです
小学生連続殺傷:14年経てもなお悲しみ…父が手記 神戸
手記の中で、「弁護士を通じて、5月12日に前年と同様に加害男性からの手紙を受け取りました。手紙の内容については公開できませんが、この1年の間に、良い意味で彼自身がかなり大きな変化をしたことを伺わせるような内容だと感じました。また、本退院後の加害男性の状況については、現在も十分な情報を得ることはできていません。難しいことだとは思いますが、少しでも情報を得ることが出来ればと思っています」と記されています
これは犯人である少年の弁護士が、土師君の父親に「手紙の内容は公表するな」と強く迫っているからなのでしょう。しかし、なぜそうまでして犯人であった少年を保護するのに躍起になっているのか、理解できません
まるで腫れ物に触るかのような扱いです
犯人である少年(もう成人になっているわけですが)の手紙を公表することが、彼の更生の妨げになるのでしょうか?
それで更生できないのなら、隔離された施設の中で生活すべきです
「加害男性の状況について、現在も十分な情報を得られない」というのも、弁護士が犯人であった男性の生活状況、仕事、居住先などの情報を秘匿しているためです
こうした取り扱いを人権尊重だと考えているのなら、大きな間違いでしょう
インターネット上にはこの事件の犯人、自称酒鬼薔薇聖斗の本名が暴露されており、秘密でも何でもありません
事件の記憶を風化させないために、きちんと公開すべき情報は公開するのが筋だと自分は考えます
酒鬼薔薇聖斗は今?
神戸の事件は少年の抱えるエディプスコンプレックスがうまく克服されず、母親に対する近親相姦願望がサディズムとマゾヒズムにまみえた幻想となって膨れ上がり、誰かを殺害してその首を切断しなければならないという強迫神経症的な衝動に駆られたものだったと考えます
この場合の被害者の首の切断は、自身のペニスを切断し近親相姦願望を破棄しようという通過儀礼の置き換え、と解釈できます
確かに異常な犯罪ではあったのですが、だからといって統合失調症のような精神疾患だというわけではなく、強迫神経症のモデルで説明できる行動です
ですから、「残忍な殺人鬼を野に放すのか」とか、「精神障害の異常な犯罪者を野放しにするのか」という批判は的外れです
「再犯の可能性があるのかどうか」という議論については、治療過程の詳細も伏せられたままなので判断できる材料はありません。つまり議論すらできない状況なのです
治療の取り組み・内容については、彼を社会復帰させると法務省が判断した以上、ある程度の中身を公表するべきだったと考えます。そうすることで「精神障害の異常者を野放しにするのか」という批判を緩和することもできたはずです
すべてを秘密にし、伏せたままというのは治安の責任を持つ国の態度として不適切でしょう。国民に情報を伝えないまま、「更生した。再犯のおそれはない」と法務省が主張したところで、誰も信用しません
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