「ビンラディン暗殺は主権侵害」とパキスタン激怒

アメリカの特殊部隊によってオサマ・ビンラディンが暗殺されたわけですが、パキスタンではアメリカの行動に対し、「主権を侵害するものだ」との怒りが渦巻いているようです

ビンラーディン殺害は主権侵害…パキスタン議会

記事では、「パキスタン議会は14日未明、国際テロ組織アル・カーイダ指導者のウサマ・ビンラーディンをパキスタン領内で殺害した米軍の作戦を『主権侵害であり、容認できない』とする非難決議を採択した」とあります
非難決議の内容、文言を巡って朝から深夜まで議論を重ねたようです
アメリカ側の考えとしては、パキスタン国内に潜伏しているオサマ・ビンラディンをパキスタン政府が本気で捕まえようとしているように見えず、事実上見逃していると判断せざるを得なかったのでしょう
ですから「主権の侵害だ」とパキスタン議会が決議したところで、「何をいまさら」と言うだけです
仮にアメリカ政府がビンラディン暗殺作戦をパキスタン政府に事前通告して了承を求めたなら、パキスタン政府関係者からビンラディンに情報が漏れた可能性が大です
要するにパキスタン政府はアメリカと国内のイスラム過激派との間で板挟みになっており、両方の顔色を伺いながら綱渡りを続けているのが現状です
アメリカ軍の動きをイスラム過激派に流しつつ、イスラム過激派の動向をアメリカ政府に流すという、危ない芸当をこれまでも続けてきたのでしょう
パキスタン国内にはビンラディンを英雄と崇める過激派が大勢いて、政府も彼らの要求を無視できないのだと思われます
だとしても、パキスタン政府がアメリカへの協力を拒絶したところで過激派が大人しくなったりはしません。要求をエスカレートさせるだけですし、政府が応じなければ爆弾テロを繰り返すのでしょう
過激派が膨れ上がり、政府の手では抑えきれないほど勢力を獲得してしまった結果です。そうなる前に取り締まり、叩き潰しておかなければならなかったのですが
もっとも今回のパキスタン議会の決議も、「アメリカによるビンラディン暗殺に怒りを表明し、国民のガス抜きを図ろう」との狙いが見え見えです
パキスタン政府としてはアメリカから「テロ支援国家」と名指しされるのだけは是非とも避けたいのでしょうし、イスラム過激派を勢いづかせたくもないと考えられます
パキスタン政府が国内のイスラム過激派やアルカイダのようなテロ組織を取り締まれない以上、主権を行使できていないと決め付けられても仕方のないところです。だから主権侵害との抗議も虚しく聞こえてしまいます
別の報道によれば、ビンラディンの隠れ家から大量のアダルトビデオが発見されたのだとか。これまでビンラディンは敬虔なイスラム教徒というイメージを流布してきましたので、イスラム社会では今回のアダルトビデオも「アメリカ政府のでっち上げ」だと決めつけるのでしょう
イラクのフセイン元大統領のときも、その住居から大量のアダルトビデオが発見されたと報道されました。真偽は不明です。サラム・フセインを貶めようとしたアメリカ政府のでっち上げだとする説が根強く残っています

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