中国 故宮博物館で盗難事件

北京の故宮博物館で展示中の美術品が盗まれる事件がありました

中国・北京の故宮博物院(紫禁城)で展示品が盗まれる事件があり、国営新華社通信によると、警察が11日夜、市内で28歳の男の身柄を拘束した。警備が厳重な故宮博物院で窃盗事件は、きわめてまれだ。
逮捕されたのは山東省出身のShi Baikui容疑者。犯行を自供しているという。展示品の一部は回収されたが、現在も取り調べが続いている。
北京の大衆紙、新京報によると、盗難にあったのは故宮博物院が院内北東部の展示ホールで6月27日まで開催している展覧会用に香港の私設博物館から借り受けていた、20世紀初期の宝石箱や化粧箱などの美術品7点で、被害総額は1000万元(約1億2500万円)に上る。窃盗事件後、展示ホールは一般公開を中止している。
環球時報によると、故宮博物院で盗難が起きたのは4回だけで、1987年に起きた事件が最後。この時の窃盗事件は未遂に終わっているが、犯人の男には終身刑が下されている。
(AFPの記事から引用)

清朝時代に皇帝の居城であった紫禁城が、その後故宮博物館となりました
しかし、中国共産党と中国国民党の内戦の中、故宮博物館に収蔵されていた清朝の美術品の多くが台湾に移され、現在は台北市にある国立故宮博物院に展示されています
つまり北京にある故宮博物館にはめぼしい美術品は残されていません。本物の中国美術の粋に出会うためには、北京ではなく台北の故宮博物院へ足を運ぶべきでしょう
そして、清朝の美術品や文化財が台湾に移されたのは、実に幸いだったと言えます
何度も書いてきたように、中国共産党は文化大革命と称して、中国の文化遺産、歴史的な建造物など破壊しまくりました。その結果、中国各地で貴重な文化財や美術品、工芸品が毀損、焼却されたのです
故宮博物館も収蔵品が台湾に移されずに残っていれば、中国共産党の手によって破壊されていたはずです
中国共産党は、清朝末期に侵略してきた欧米諸国や日本が中国の文化財を奪ったと主張していますが、最大の破壊者は中国共産党自身です
科学的社会主義国家建設のためには古いものを徹底的に破壊せよ、と毛沢東は呼びかけ、学生等によって組織された紅衛兵が実行しました
さて、テレビ番組の「なんでも鑑定団」を見ていると、相変わらず中国旅行で高価な骨董品を購入し、自慢のお宝だと言って披露する人たちがいます。その99%はニセモノであり、最近作られた品です
稀少価値のある本物の美術品、工芸品であれば、それを国外に持ち出すなど不可能です。骨董品に取り憑かれている人たちは、「我こそは本物の美術品を見抜く目がある」と自惚れているため、現地の骨董商のカモにされているわけです
その昔、安土桃山時代の茶人は中国や朝鮮から渡来した庶民が使う生活雑器に美を見い出し、これを茶道具として用いました。歪んだ器や色の褪せた器を美であるとしたところが見識であり、審美眼です
怪しげな中国の骨董店で売られている器を、「故宮博物館の図録に載っているものとそっくり。これは本物に違いない」と決めつける日本の骨董マニアには、審美眼がないわけです。工芸品、美術品が好きなのではなく、「お宝を手に入れた」と自慢したいだけなのかもしれません

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