中国建国60周年記念アニメ 「説教くさい」と批判を浴びる
2009年に報じられたニュースなのですが、映像が手に入ったので取り上げます
中国の建国60周年を祝う企画として、こども向けアニメーション「小牛向前冲」が
製作され、放送されました
日本語に直すと「進め、子牛」という意味だそうです
「説教くさい!」「キャラクターが外国アニメのものと似ている」
~中国“純国産アニメ”不評?
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090827/chn0908271959005-n1.htm
確認したら記事そのものが削除され、見当たりません。ので、一部を貼り付けてお
きます
【北京=矢板明夫】中国国営中央テレビと山東省青島市内のアニメ制作会社が共
同で作ったアニメ「進め、子牛」(小牛向前衝)の放送が27日、中央テレビで始まっ
た。
中国政府が最近、積極的に推進している文化産業振興政策の成果の一つとして
注目されているものの、政府の旗振りで制作された作品だけに教育色が強く、内
容には厳しい意見も向けられている。
「子供たちへの建国60周年記念のプレゼント」と位置づけられるこのアニメは、スト
ーリー、キャラクター、構成などすべて中国人の手で作られた。計52話からなり、仲
間と一緒に冒険し、さまざまな困難に打ち勝つ大きな角を持った子牛の活躍が描か
れている。
脚本を担当した劇作家の袁志発氏は、「子牛のように自信と責任感をもって中国は
今回の国際金融危機を乗り切ってほしいという願いを込めて作った。
子牛精神こそ中国精神だ」とメディアに語っている。
中国では数年前から「外国との文化交流で私たちは完全に赤字になっている」と指
摘する声が出始めている。
米国の映画、日本のアニメ、欧州のオペラやバレエなどが中国市場で影響を拡大し
ているのに、中国には外国に輸出できるソフトがほとんどなく、国内の文化産業は完
全に押されている。
今年3月、温家宝首相は河北省のアニメ工場を視察した際、「自分も孫とアニメ番組
を見ることがあるが、どれもウルトラマンなど海外のもので国産のものが少ない」と嘆
いた。
こうした“文化赤字”を早く解消したいとの思いから政府は最近、文化産業の振興に
力を入れていた。
映画、アニメ、ゲーム制作会社に銀行が優先的に融資し、政府は人材育成面で支援
している。
「進め、子牛」は、「中国の伝統文化と現代の価値観を両方取り入れ、今の子供にも
っともふさわしい作品」と制作側は意気込んでいる。
しかし、視聴者からはすでに、「キャラクターが外国アニメのものと似ている」「説教く
さい」といった批判の声が早くも上がっている。
視聴者の反応も勘案せず、いきなりテレビ放送52話を作ってしまうというのがいか
にもお役所仕事的発想です
日本なら12話とか14話を1クールとし、視聴者の反応がよければ第2期シリーズ
へと手を伸ばすわけですが、中国ではいきなり52話です
あれこれ言うよりも、動画をご覧ください
小牛向前冲 第1集 我是大角牛
http://www.56.com/u56/v_NTUzODY3MTc.html
小牛向前冲 第2集 神秘的声明
http://www.56.com/u78/v_NDkwNzY1MjM.html
上記の産経新聞の記事によれば、「中国の伝統文化と現代の価値観を両方取り
入れ、今の子供にもっともふさわしい作品」と制作側は意気込んだものの、視聴者
からは「キャラクターが外国アニメのものと似ている」、「説教くさい」といった批判を
浴びたそうですから、キャラクターグッズの販売など思うような結果は得られえてい
ないのでしょう
52話をすべて見るのは骨なので、第1話と第2話を見た感想を書くと、製作者がや
りたかったのは「ドラゴンボール」と「ナルト」の世界なのだろうと推測されます
「ナルト」のような、もはや忍術とは呼べないような奇想天外な技を繰り出す格闘シ
ーンは、中国人アニメーターにとって憧れでなのでしょう
日本のアニメーションを暴力的と批判するのが中国の常套句ですが、彼らにはその
バイオレンスを表現する能力はないのであり、表現力・想像力ともに欠けているの
は明らかです
2009年放送のアニメーションだとしても、やはり作画が古臭く感じられます
1つ1つのカットが従来の見慣れたアニメーションの構図から抜け出せず、最新のコ
ンピューターグラフィクの技術を駆使しているにも関わらず、新しい表現手段を追及し
ていないためです
さらにまた動物を擬人化したキャラです
中国アニメには動物擬人化キャラしかつくれないのか、と言いたくなります
日本のアニメーションがいかにバラエティ豊かなヒーロー、ヒロイン、それに脇役たち
を描いてきたか、あらためて気づかされます
「ナルト」の登場人物を思い浮かべても、いかに個性豊かな人物像を揃えているか
が分かります
せっかく政府の肝煎りで実現させた大作なのに、中国の視聴者がそっぽを向くのも
無理からぬところでしょう
断っておきますが、自分は幾つかの中国映画は名作だと思っています。人生のは
かなさや切なさを描き、深みのある人間ドラマを見せてくれる映画を中国は作ってい
ます。しかし、アニメーションではそれができません。中国映画の持つ豊かな表現力
や人間洞察の深さが、なぜアニメーションに反映されないのか、質問したくなります
(関連記事)
中国3Dアニメの成功例「秦時明月」
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201105article_56.html
中国メディア「日本を抜き中国が世界一のアニメ大国に」
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201105article_29.html
韓国メディア アニメの成功に財閥企業の力が必要
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201105article_24.html
製作6年 韓国の長編アニメ「庭を出ためんどり」
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201105article_21.html
人気爆発の中国アニメ「「麦兜響当当」は産業化のモデル?
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201105article_9.html
「ジャパンはクールじゃない…海外の本音」の本音
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201105article_10.html
中国の人気アニメーション「喜羊羊与灰太狼」
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201002article_21.html
中国人が語る「日本のアニメはなぜ中国で成功しているのか」
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201104article_51.html
中国アニメ「Lock Fighter」紹介 戦闘シーンがショボイ
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201104article_9.html
名作か迷作か? 中国アニメ「2nd Life」
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201103article_1.html
パクリ満載 中国のカオスアニメ「守护精灵」
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201103article_18.html
「ドラゴンボール」みたいな中国のオリジナルアニメ「魁拔」
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201009article_127.html
「もしドラ」 ドラッカーをもアニメにしてしまう日本
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201104article_69.html
中国の建国60周年を祝う企画として、こども向けアニメーション「小牛向前冲」が
製作され、放送されました
日本語に直すと「進め、子牛」という意味だそうです
「説教くさい!」「キャラクターが外国アニメのものと似ている」
~中国“純国産アニメ”不評?
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090827/chn0908271959005-n1.htm
確認したら記事そのものが削除され、見当たりません。ので、一部を貼り付けてお
きます
【北京=矢板明夫】中国国営中央テレビと山東省青島市内のアニメ制作会社が共
同で作ったアニメ「進め、子牛」(小牛向前衝)の放送が27日、中央テレビで始まっ
た。
中国政府が最近、積極的に推進している文化産業振興政策の成果の一つとして
注目されているものの、政府の旗振りで制作された作品だけに教育色が強く、内
容には厳しい意見も向けられている。
「子供たちへの建国60周年記念のプレゼント」と位置づけられるこのアニメは、スト
ーリー、キャラクター、構成などすべて中国人の手で作られた。計52話からなり、仲
間と一緒に冒険し、さまざまな困難に打ち勝つ大きな角を持った子牛の活躍が描か
れている。
脚本を担当した劇作家の袁志発氏は、「子牛のように自信と責任感をもって中国は
今回の国際金融危機を乗り切ってほしいという願いを込めて作った。
子牛精神こそ中国精神だ」とメディアに語っている。
中国では数年前から「外国との文化交流で私たちは完全に赤字になっている」と指
摘する声が出始めている。
米国の映画、日本のアニメ、欧州のオペラやバレエなどが中国市場で影響を拡大し
ているのに、中国には外国に輸出できるソフトがほとんどなく、国内の文化産業は完
全に押されている。
今年3月、温家宝首相は河北省のアニメ工場を視察した際、「自分も孫とアニメ番組
を見ることがあるが、どれもウルトラマンなど海外のもので国産のものが少ない」と嘆
いた。
こうした“文化赤字”を早く解消したいとの思いから政府は最近、文化産業の振興に
力を入れていた。
映画、アニメ、ゲーム制作会社に銀行が優先的に融資し、政府は人材育成面で支援
している。
「進め、子牛」は、「中国の伝統文化と現代の価値観を両方取り入れ、今の子供にも
っともふさわしい作品」と制作側は意気込んでいる。
しかし、視聴者からはすでに、「キャラクターが外国アニメのものと似ている」「説教く
さい」といった批判の声が早くも上がっている。
視聴者の反応も勘案せず、いきなりテレビ放送52話を作ってしまうというのがいか
にもお役所仕事的発想です
日本なら12話とか14話を1クールとし、視聴者の反応がよければ第2期シリーズ
へと手を伸ばすわけですが、中国ではいきなり52話です
あれこれ言うよりも、動画をご覧ください
小牛向前冲 第1集 我是大角牛
http://www.56.com/u56/v_NTUzODY3MTc.html
小牛向前冲 第2集 神秘的声明
http://www.56.com/u78/v_NDkwNzY1MjM.html
上記の産経新聞の記事によれば、「中国の伝統文化と現代の価値観を両方取り
入れ、今の子供にもっともふさわしい作品」と制作側は意気込んだものの、視聴者
からは「キャラクターが外国アニメのものと似ている」、「説教くさい」といった批判を
浴びたそうですから、キャラクターグッズの販売など思うような結果は得られえてい
ないのでしょう
52話をすべて見るのは骨なので、第1話と第2話を見た感想を書くと、製作者がや
りたかったのは「ドラゴンボール」と「ナルト」の世界なのだろうと推測されます
「ナルト」のような、もはや忍術とは呼べないような奇想天外な技を繰り出す格闘シ
ーンは、中国人アニメーターにとって憧れでなのでしょう
日本のアニメーションを暴力的と批判するのが中国の常套句ですが、彼らにはその
バイオレンスを表現する能力はないのであり、表現力・想像力ともに欠けているの
は明らかです
2009年放送のアニメーションだとしても、やはり作画が古臭く感じられます
1つ1つのカットが従来の見慣れたアニメーションの構図から抜け出せず、最新のコ
ンピューターグラフィクの技術を駆使しているにも関わらず、新しい表現手段を追及し
ていないためです
さらにまた動物を擬人化したキャラです
中国アニメには動物擬人化キャラしかつくれないのか、と言いたくなります
日本のアニメーションがいかにバラエティ豊かなヒーロー、ヒロイン、それに脇役たち
を描いてきたか、あらためて気づかされます
「ナルト」の登場人物を思い浮かべても、いかに個性豊かな人物像を揃えているか
が分かります
せっかく政府の肝煎りで実現させた大作なのに、中国の視聴者がそっぽを向くのも
無理からぬところでしょう
断っておきますが、自分は幾つかの中国映画は名作だと思っています。人生のは
かなさや切なさを描き、深みのある人間ドラマを見せてくれる映画を中国は作ってい
ます。しかし、アニメーションではそれができません。中国映画の持つ豊かな表現力
や人間洞察の深さが、なぜアニメーションに反映されないのか、質問したくなります
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中国3Dアニメの成功例「秦時明月」
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