「GOSICK 薔薇色の人生」を読んで

桜庭一樹の「GOSICK」シリーズの新作が久々に出ましたので、購読しました

いつもの登場人物に加え、ヴィクトリカの父親でソヴュール王国オカルト省の長である

アルベール・ド・ブロア侯爵の出番が多くなっています

今回、ヴィクトリカは10年前に起きたソヴュール王国王妃殺害事件の謎を解き明かす

ため、父親であるブロア侯爵によって呼び出されます

10年前の事件であるため関係者からの証言も得られず、物証も乏しいのですが、ヴ

ィクトリカが知恵の泉を使って事件の断片(カオス)を集め、再構成を試みます

事件の真相を解かなければヴィクトリカは己の存在意義を否定され、ブロア侯爵の手

によって闇に葬られる危険が待ち構えています

しかし、事件の謎を解けば、それは国家の機密を暴きだす結果となり、別の勢力から

命を狙われる危険もあります

謎解きとは別に、こうした政治的な駆け引きの行方も「薔薇色の人生」では大きな比

重を占めています

事件の真相はネタバレになるので書きませんが、3年ぶりの新作にふさわしい凝った

謎解きが展開されます

ソヴュール王国の政府機関であるオカルト省が劇場の地下にあるという設定はちょっ

と突飛で、作りすぎの気もします。王妃ココの生涯を描いた芝居が劇場で上演される

というストーリーになっており、その芝居が事件を解く鍵になっているため、ヴィクトリ

カもブロア侯爵も劇場に居合わせる必要があったわけですが

なお、この「GOSICK」シリーズも年内に刊行される長編1冊と短篇集1冊で完結の

予定になっており、終りを迎えると告知されています

親しんだシリーズが終わるのは残念ですが、仕方がありません

できれば成長したヴィクトリカと久城一弥の物語を、まだまだ読みたかったのですが

テレビ放送中のアニメーションはいよいよ「ベルゼブブの頭蓋」へと話が進みます

「ベルゼブブの頭蓋」をやるのなら、それと繋がっている「仮面舞踏会の夜」までアニ

メーションで取り上げるのでしょう

ちなみにインターネットに出回っている「アニメ化の資料」によれば、以下の構成にな

るそうです

第16話~第17話:原作「GOSICK-ベルゼブブの頭蓋-」より
第18話:原作「GOSICK-仮面舞踏会の夜-」より
第19話:原作「GOSICKs-秋の花の思い出-」より、「純潔~白い薔薇のおはなし~」
第20話~第24話:続刊される原作より

20話からは「薔薇色の人生」を取り上げるのも織り込み済みであり、脚本化の作業

は「薔薇色の人生」が出版されるよりも前、昨年10月から始まっていたそうです

原作を壊すことなく丁寧に脚本化されているのがアニメーション版「GOSICK」の売り

ですが、最後までそうであってもらいたいものです

(関連記事)
「GOSICK-ゴシック-」アニメ化 1月から放送開始
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201101article_32.html

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