お受験失敗の後遺症
受験シーズです。メディアは京都大学の入試問題をインターネットに投稿した受験生の話でもちきりです
そちらのニュースは後日、何らかの形で取り上げるつもりですが、いまのところは静観しています
さて、今日は「女性セブン」2001年3月17日号の記事、中学受験に失敗した親子の話を取り上げます
中学受験失敗の子供「地元の中学に行くのは恥ずかしい」
この記事を読んで思うところは2点あります
まず、母親がこどもの受験にのめり込み、こども以上に熱くなってしまっている姿が問題です
「親がこどもの受験を応援し、励ますのは当然」なのでしょうが、この母親の頭の中にあるのは「名門中学校に合格したこどもの母」である自分の姿であり、優越感に浸りつつ知人の母親たちに自慢話をする自分の姿なのでしょう
つまり、こどもの中学受験は自己満足の材料にしようと思っていた分、「不合格の現実」を受け入れられず苦悩しているように映ります
本当にこどものことを思っていたのかさえ疑問に思えてしまいます
3年間、子供の勉強にかけてきたエネルギーと、投資してきた金額を思い起こすと、脱力感に襲われてしまう。『こんなことなら5年生のときに塾をやめればよかった』とか、『もっと子供の能力を冷静に見極めるべきだったかもしれない』と、後悔ばかりしてしまう。いまだに夜も眠れず、食欲もわきません」
中学受験が失敗に終わった結果に対する反省ではなく、こどもへの思いやりでもなく、愚痴の連発です。「お受験」に失敗したダメな母親、と見られるのが怖くて怯えているのが分かります
そのため近所のスーパーへ買い物にも行けないのですから、この母親は自分のことしか眼中にないのでしょう
第2点は、中学受験をこどもの人生の中でどう位置づけるか、まったく考えていないところが気になります
酷な言い方かもしれませんが、この親子は最初から「名門中学合格」しか頭になかったのでしょう。第一志望だろうが、第二志望だろうが、中学に入学してから良いこともあれば悪いこともあります。中学で落ちこぼれたり、不登校になるケースもあります
しかし、この親子は名門中学に合格すればすべてOKであり、何でも解決するがごとく思っている節が伺えます
長い人生の中で中学校生活など、たったの3年間に過ぎません。それで人生が決まってしまうかのような思い込みをこの親子はしているのです
例に上げるのもバカバカしくなりますが、ノーベル賞受賞者でも落第したり、中学受験に失敗している人はいます。そうした挫折を人生の肥やしにし、たくましく成長しているわけです
名門中学に合格すればあとは順風満帆の人生が待っているかのような考えでは、ロクな大人になれません(母親も大人としてそのような狭い人生観、価値観しか持ち合わせていないのも問題です)
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