宮崎アニメを超えた! 中国アニメ「馬蘭花」

煽りのようなタイトルで恐縮です

2009年6月、中国の最新アニメーション映画「馬蘭花」が公開されるとのニュース

があたのですが、その後さっぱり評判が聞こえてきませんでした。相当の自信作だ

ったようですから、世界各国で大ヒットとなったのでしょうか?

宮崎アニメに劣らない中国アニメの新作が公開
http://japanese.china.org.cn/ent/2009-06/02/content_17875425.htm

最初に触れておきますが、これはディズニーの「アラジン」ではありません。絵がそっ

くりだとしても、中国メディアに言わせれば「オリジナル」なのだそうです

Youtubeで「馬蘭花」の動画を検索したのですが、短い予告編しかありません

誰がどう見てもこれはディズニー映画の絵です

もうすこし作品の全体像が分かるような動画はないものかと探したところ、以下のサ

イトに7分ほどの動画がありました(重いので再生に時間がかかります)
http://japanese.china.org.cn/geino/2009-06/29/content_18033553.htm

ディズニー風の絵で「もののけ姫」をやっているような印象です

ここまで堂々とパクって、「オリジナルだ」と言い張るところがすごいと思います

記事の中にある、「平面画像と三次元の背景の組み合わせは最新のアニメ制作の

考え方で、国際映画祭で何度も受賞している宮崎駿のここ数年の作品もこの考え方

の産物だという意見が、世界各国から集まったアニメ業界の人たちの一致した考え

だった」との見解はともかく、基本となる物語がしっかりしているかどうかが問題です

三次元アニメーションだからヒットするわけではありませんし、二次元アニメーション

らから古臭いというものでもありません

確かに三次元を駆使して原生林の中に踏み込むような視覚効果を発揮しているの

は認めますが、その後の物語の展開では陳腐なほどカット割り、構図が平凡です

日本のアニメーションなら主人公の顔のどアップどころか、瞳のアップなど、演出効

果としての絵を配置するのですが、そうした工夫が見られません

登場人物の掛け合いも古臭く、大昔のドラマと変わりありません

演出担当者の感覚が古過ぎて、物語を駄目にしてしまっている典型でしょう

何度も書いていますが、「中国のアニメーションは日本に追いついた」などと思って

いるのは中国の業界関係者だけであり、この「馬蘭花」を見ただけでも彼我の差の

大きさは明らかです

この「馬蘭花」は第27回中国映画「金鶏奨最優秀美術作品賞」を受賞したとありま

すが、アニメーションを対象とした国際映画祭で賞を受けた実績はないようです。受

賞していれば中国メディアが大々的に書き立てるでしょうから

伝統的な民話をベースにした「馬蘭花」ですが、これをもしも日本のアニメーション制

作会社が手がけたらどうなったでしょうか?

宮崎駿がジブリでやれば、姉妹の愛憎劇を軸に人間の業をこれでもかと描いたかも

しれません。その他のアニメーション制作会社も独自の方法で物語を掘り下げ、さま

ざまなキャラクターを配置し、伏線を張り巡らせ、もっと濃淡のあるドラマに仕立てる

と思います

「名探偵コナン」なら謎の館で「馬蘭花」を巡る密室殺人事件でしょうか?

他にもスポ根物「馬蘭花」や、人類の存亡をかけて「馬蘭花」争奪を繰り広げるガン

ダムなど、さまざまなバリエーションが考えられます

こうした引き出しの多さ、演出技法の多様さこそ日本のアニメーションの財産です

真似ようとすれば真似られるのかもしれませんが、中国アニメーションの製作者や

演出家にそれだけの創造力があるかは疑問です

中国アニメーションが根幹に抱える「創造力の欠如」は、そう簡単に補えるものでは

ないと思います

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