日本のアニメと中国のアニメの差はどこにある?

サーチナが中国の掲示板で展開されている、「日本のアニメと中国のアニメの差はどこにあるのか」という論争を紹介しています

日本のアニメと中国のアニメの差はどこにある?

この手の記事は過去にもたびたび登場しており、当ブログでもコメントしているのですが、あまり実りある議論は見かけません
今回の記事でも日本と中国のアニメーションの違いについて、認識不足が露呈しているだけのように見えてしまいます
「率直に言って、アメリカと中国のアニメの製作技術は常に向上していると思う。でも、発想とか観点とかが進歩していない。具体的に言うと90年代でストップしているね。そして、日本のように全国民がアニメを支持している国はほかにない。これが、日本アニメが1番である理由だ」との指摘を見ても、「なんだかなぁ」と思うだけです
中国のアニメーションの発想が90年代でストップしているのか、具体的な事由は不明ですが、目新しさがないのは事実でしょう
たとえば中国では相変わらず、武侠小説をベースにした英雄豪傑の活躍を描く歴史時代劇をやっています。Youtubeで幾つかの作品を視聴できます
それが悪いとは言いませんが、そこに日本のアニメーションの歴史時代劇「十二国記」や「精霊の守り人」のような壮大な世界観、深みのある人間ドラマが描けているのか疑問です

中国のアニメーション「大海」は独自の世界観を打ち出そうとしているようです


しかし御覧頂いて分かるように、「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」が作られた後ではこれらの作品の亜流にしか見えません
別の報道では、「中国のアニメーション界は人材も育っている。あとは業界を牽引するスターが登場すれば・・・」と書いていました。要するに「手塚治虫や宮崎駿のような傑出したスターが登場すれば日本に追いつける」と言いたいのでしょう
しかし、人材豊富と言いながら製作工程を管理したり、プロデュースを担当する人物がいないというのは妙な話です
あるいは、「1人の傑出したスターが登場すれば」何もかも上手くいくかのような、英雄待望論は浅はかすぎます
これはつまり、中国のアニメーション界は宮崎駿のようにストーリーコンセプトを考え、脚本を書き、キャラクターデザインも考え、絵コンテを切って演出もやり、下絵も描いて製作工程の管理もこなす人物が必要とされる状況だと明かしているようなものです
豊富な人材が育っているとは言え、アニメーション作りの中核を担える人材が決定的に不足していると考えられます
そして何より日本のアニメーションと中国のアニメーションの大きな違いは、物語を生み出す能力の違いでしょう。単に「発想」とか「観点」と表現して済ませる問題ではなく、アニメーション(物語)を生み出す能力に決定的な違いがあると言えます
繰り返し書いていますが、日本には漫画、ジュブナイル、ライトノベルといった物語が豊富に存在します。それだけ創作者の層が厚く、質が高いのです。単に頭数の問題ではありません
そして審美眼に長けた口うるさい読者もまた分厚い層をなしています
昨日今日、人材育成に乗り出した中国がすぐに追いつけるものではないと指摘しておきましょう

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