連合赤軍永田洋子死刑囚 「普通の女の子」説の誤り
しつこいようですが、連合赤軍のリーダー永田洋子死刑囚の死亡について、3度目の言及をします
山岳アジトに立て篭もった赤軍のメンバーが、仲間に壮絶なリンチを加え次々と死に至らしめるという事件がなぜ起きたのか、永田洋子の個人的な資質、人格の問題なのかを考えます
記事の中で瀬戸内寂聴は永田洋子を評して、「洋子さんが、ごく普通の女の子で、頭のいい、素直な、正義感の強い、自分をごまかせない、馬鹿正直な人だと知るようになった」と書いたそうですが、これは何も言い当てていないも同然です
心理臨床の場でこのような人格分析のレポートを書けば、笑われるだけです
「普通の女の子」という表現を用いるのがそもそも間違いです。ならば、「普通の女の子」がいかなるものかを定義しなければなりません
人格の特徴や傾向を掴み損ねているから、「普通の女の子」などと表現してしまうわけで、これでは人格の特徴をとらえたとは言えません
結局、瀬戸内寂聴は永田洋子の実像を見ず、自分の描いた虚構のイメージを当てはめ、「かくのごとき人物であってほしい」という姿を描写しているのです
そもそも、「普通の女の子」は14人もの人を死に追いやったりはしません
その事実だけを取り上げても永田洋子が「普通の女の子」ではないのと言えます
続いて慶応大学の小熊英二の分析、「あのような状況と立場に置かれれば、その人間のもっている特徴が醜悪な形態で露呈してしまう」との指摘も論外でしょう
「あのような状況」とありますが、連合赤軍はパニック映画のような極限状態の設定の中で疑心暗鬼になり、互いに殺し合ったわけではありません
民間企業を襲撃して強奪した数百万円の資金と多数の武器弾薬を所持して山に潜伏していたのであり、逮捕寸前の状況に追い詰められていたわけではないのです。そして永田らは自分たちが先頭にたって暴力革命を遂行すれば、大衆はそれに呼応して立ち上がるに違いないと信じていました
つまり連合赤軍は追い詰められたが故に、仲間同士で殺し合いをしたのではなく、永田洋子と森恒夫ら幹部の指揮によって行動し、仲間を人民裁判にかけ、リンチを加えて殺害したのであり、それは彼らの行動様式の一部であったと言えます
イデオロギーによって支えられた革命の具現化を永田洋子は遂行したのです
革命の闘士に相応しくない者は排除し、選ばれた者だけが残るという考えであり、これが左翼暴力革命の本質です
連合赤軍のリンチ事件を狂気の沙汰と表現する人もいますが、決して精神に異常をきたしたがために発生した事件ではありません
例としてはあまり適切ではないのでしょうが、幕末に新選組が局中法度により隊士を厳しく処断し、締め上げることで隊の士気や求心力を維持しようとした行動と似ているのかもしれません
問題はそこに永田洋子の個人的な思惑が介在し、女性メンバーへの嫉妬と憎悪が大きく作用したところにあります
根底にあるのは何だったのでしょうか?
裁判所は判決文で永田洋子を、「自己顕示欲が旺盛で、感情的、攻撃的な性格とともに強い猜疑心、嫉妬心を有し、これに女性特有の執拗さ、底意地の悪さ、冷酷な加虐趣味が加わり、その資質に幾多の問題を蔵していた」と表現しています
事件の上っ面だけをなぞったような表現であり、個別の犯行から特徴を拾い集めて並べただけに過ぎません
本質に踏み込んで考えるなら、強い猜疑心や嫉妬は愛情飢渇の結果だと見るべきでしょう。つまり誰よりも多く愛情を獲得したいと欲し、独占したいと思うがゆえに、他の女性メンバーが愛情を得ようとする行動が許せず、これを徹底的に攻撃しなければ気が済まなかったと推測されます
そこにあるのは「普通の女の子」ではなく、誰よりも愛される「特別な女の子」でありたいとの願望だったのではないでしょうか?
その「特別な女の子」であるため、永田洋子は左翼過激派の活動にのめり込んだと思われてなりません
もちろんこれは自分の勝手な憶測であり、そうと結論づける根拠は何もありませんが
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