鴻上尚史「文化の地位を低く見るなかれ」への疑問

NHKの大河ドラマ「龍馬伝」のクライマックスで、「龍馬が暗殺者の気配に気づいた瞬間、龍馬の顔のアップに〈愛媛県知事選、新人の中村時広氏当選確実〉のテロップが二十六秒でた」問題について、鴻上尚史が「文化軽視の現れだ」と週刊SPA!書いています

【ドンキホーテのピアス】鴻上尚史 文化の地位を低く見るなかれ

「愛媛県のような田舎知事の選挙結果より大河ドラマのクライマックスの方が大事だ」と言いたいのでしょうか?
「政治よりも文化の方が人々を満足させ幸福にさせるのだ」との指摘には頷くべきものがありますが、テレビの字幕速報だけで「だから日本人は・・・」と決め付け日本人論を導き出すのは不可解です
テレビの放送中、字幕速報として何を流すか流さないかは各局ごとに基準があるそうです。NHKにすれば選挙の開票結果は字幕速報で長すべきものだったのでしょう
それがNHKの基準であり判断であるわけで、日本人全体がその基準や規範に従って生活したり行動しているわけではありません
ですから、大河ドラマの放送中に流れた字幕速報だけで、「これだから日本人は・・・」などと断定するのは誤りです
文化を語るのは結構ですが事実を歪めるのはいけませんし、議論の前提を間違った設定で始めるのもいけません
あれが愛媛県知事選挙だから、「けしからん」と感じた人も多かったのではないでしょうか?
「地下鉄サリン事件」のような惨事なら、字幕速報も当然だと思う人はもっと多いはずです
つまり、一般大衆は政治と文化を天秤にかけて判断しているわけではなく、何が重大かで判断しているのです
「田舎の知事選挙よりも大河ドラマのクライマックスの方が大事」だと判断する人がいたとしても、政治と文化の価値を比較考証して判断しているのではなく、その時点で自らが何を大事と思うかで判断しているにすぎません
そこを起点に日本人論を展開するのはどうか、と思ってしまいますし、「日本人はすべてそうだ」などと決めつけられるのも不愉快です
「文化の力」こそが国のイメージを決定するとの指摘はもっともですし、言わんとしているところには大いに賛同します
だからこそ、前半部分の大河ドラマの字幕から強引にヘンテコな日本人論に導くくだりは残念ですし、賛同できません
NHKでは別の日に大河ドラマの再放送をしていますし、衛星放送でも流しています。字幕で不快な思いをした方は、時間が許すなら別の時間帯で見直す機会があるわけで、それはNHKの配慮でしょう(決して文化を軽視している放送局だとは言えないと思います)

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