拒食症の元ファッションモデル死去
2007年にイタリアのファッションブランド「Nolita」のポスターで、やせ細った体の全身ヌードを披露して世界中に衝撃を与えたフランス人モデル、イザベル・カロさんが、昨年11月に亡くなっていたことが分かりました。28歳という若さでした
拒食症を患い、ファッションモデルたちの痩せ過ぎ問題を啓発し、テレビや雑誌などで自身の経験を語って、拒食症の怖さを訴えつづけていましたが、最期はメディアに大きく取り上げられることなく、ひっそりと亡くなったそうです
この報道を取り上げブログを書いている方が多くいますが、中には「拒食症は過激なダイエットの結果」だとする誤った認識で取り上げている例があります
拒食症がダイエットの失敗によるものなら、食生活を元に戻せば治癒しそうなものですが、現実はそう簡単ではありません
拒食あるいは過食という行動が強迫神経症の生み出すものであり、食生活の改善はもちろん必要ですが、根底にある強迫神経症の治療に取り組まないとこれを解消できません
「ダイエットの失敗」という認識こそ、拒食症の誤った理解です
以前、「万引きを繰り返す女性の中に摂食障害の症状を抱えた人が少なくない」との報道を取り上げました
万引きが品物欲しさのための行動ではなく、本人でも説明できない何らかの衝動に駆られた結果の行為であるならば強迫神経症の可能性を考えるべきでしょう
拒食症で悩む方を集め、「お互いの体験を語り合う」というグループガイダンスのような治療を試みているケースもあります
もちろん、そうした取り組みで成果が挙がっているのなら批判するつもりはありませんが、強迫神経症(特に摂食障害)では個人的な過去の体験が引き金になっている場合があり、それを人前で率直に語るのは難しいのではないか、との懸念があります
特に性にまつわる苦い体験、失敗などが原因になっている場合はなおさらです
ただ、こうした個人史(過去の生活体験)の中に原因を見出そうとする精神分析などの治療方法が万人向けとは必ずしも言えません
過去をほじくり返されるのが嫌だ、という人も存在します
そうした方は行動療法など、原因を詮索せずに行動面の改善を目指す治療法が向いているかもしれません
ともあれ拒食や過食といった行動を甘く見ず、治療機関を訪ねて相談するようお勧めします
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