取手バス襲撃事件4 何も無い部屋
JR取手駅前で14人もの人を刺傷させた事件について、4度目の言及です
逮捕された斎藤勇太容疑者は昨年9月、仕事を辞めてから引き篭もり生活をしていたと報じられています
斎藤容疑者の部屋にはパソコンがなかった、と書かれています
言うまでもなく、パソコンの有無が重要だと警察が考えているのではありません
斎藤容疑者のようなタイプの犯罪者なら、パソコンに日記のようなものを書き残しているだろうと見て捜査したものの、何も発見できなかったという話です
作家になりたかった斎藤容疑者ですから、日記の類をかつては書いていたと思うのですが、時期は不明ながらも捨ててしまった可能性があります
部屋には本もなかったそうですから、斎藤容疑者は身の回りの品々も片っぱしから捨ててしまったのかもしれません
つまり、自分の過去、自分のこれまでの人生を捨て去りたかったのでしょう
思うようにならない人生に疲れ、「幸福そうにしている奴ら」に報復しようと犯行に踏み切ったと推測まれますが、身の回りの品々をすべて捨ててしまうくらい深い絶望感に苛まれていたと考えられます
当然、そんな絶望感が心神喪失状態を暗示するものではありませんし、責任能力に問題があった証拠にもなりません
前にも書きましたが、逮捕された犯人が自分の犯行の経緯について「火曜サスペンス劇場」のようにペラペラと、整然と語ったりはしないものです
斎藤容疑者は事件を起こしたその結果を自分がどう受け止めればよいのか、混乱しているのでしょう
斎藤容疑者に斬りつけられた被害者も相当ショックを受けたと思いますが、斬りつけた斎藤容疑者もショック状態であり、自分の行動について整理がつかないまま取り調べを受けていると思われます
事前に様々なシチュエーションを考え、できるだけ数多くの人間を殺してやろうと斎藤容疑者は計画を練ったはずですが、そんな計画が吹っ飛んでしまうほど実際の事件は衝撃が大きかった、とも想像されます
もちろん警察は身柄を勾留しておく時間が限られていますから、取り調べを進めて供述調書を作成しなければならず、斎藤容疑者の気持ちの整理がつくまで待つ余裕はありません
結果として、捜査段階の供述と後日の裁判での供述との間に食い違いが生じたりするわけですが、やむを得ないところです
裁判では責任能力と斎藤被告の殺意が争点になるのでしょう
幾つかの報道で斎藤容疑者は「殺すつもりはなかった」と供述しているそうですが、これは後付けの弁解と解釈すべきです
無差別に大勢の人に包丁で斬りかかっておいて、「殺意はなかった」との釈明が通用するとは思えません
それでも前に触れた耳かき店員殺人事件のように、「殺してやろうと思って刃物を持参し、家に押し入った上で女性の首を十数回メッタ刺しにする凶行」でも、「計画的な犯行とは言えない」とオバカな判断した裁判官もいますが
最後に書き添えますが、部屋の中が空っぽであったという事実から何も証拠が残っていなかったと判断すべきではありません
人の行動には必ず意味があるからです。身の回りの品々を捨て去り、部屋を空っぽにする行為にそこ、斎藤容疑者の考えが反映されているのであり、過去を清算したいとの思いや、自分の過去を誰にも詮索されたくなかった(犯行後、自殺する気があったかどうかは不明ですが、警察が自分の部屋を調べ日記を読み返したりするのは我慢がならなかったとも推測できます)との仮説も導き出せます
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