取手バス襲撃事件3 犯行を計画、断念、再実行
「友人のいない孤独な男だった」。殺人未遂容疑で逮捕された斎藤勇太容疑者(27)と小学校と高校で同級生だった男性(27)は斎藤容疑者のことを振り返る。
茨城県取手市内の県立高校の卒業アルバム。クラスメートたちは手をつないだり、肩を組んだり、同じポーズでレンズに笑顔を向けていた。斎藤容疑者はだた1人笑わず、ほかのクラスメートとも絡んでいなかった。
高校の休憩時間には教室で1人座り、夏目漱石や太宰治の本を読んだ。
小学校の卒業文集に私の宝物を「本」、趣味を「本よみ」と記し、将来の夢を「小説家」と書いていた。
高校で副担任によく「声が小さい」としかられるほど、物静かな青年だった。男性は「容疑者の名前を聞き、すぐに、あいつだと思った。おとなしい男なのになぜ」と絶句した。
(産経新聞の記事から引用)
一部のメディアは逮捕された斎藤勇太容疑者が、「犯行当時の記憶がない」と供述していると記事にしています。これは「記憶がない」→「何らかの精神疾患の可能性」を示唆したいがための記事でしょう
公正、公平な報道を手がけていると自画自賛する大手新聞社ですが、あきらかに予断をまじえた報道で読者を特定に方向へ誘導しようとする意図が見え隠れします
秋葉原の歩行者天国を襲撃した加藤被告の場合も、刃物で通行人を次々と斬りつけた際の記憶がないとして、弁護人は「犯行当時、加藤被告は心神耗弱状態で責任能力がなかった」との主張を展開していました
が、精神鑑定では「犯行時の記憶を思い出せないのは珍しいケースではない」として加藤被告の精神疾患を否定し、犯行当時責任能力はあったとの判断を示しています
今回の事件も同様で、斎藤容疑者は犯行時の記憶を抑圧し、「思い出したくない」がゆえに封じ込めているだけなのだろうと推察されます
そして上記の記事のように、犯行を計画し、実行しようと駅まで行ったものの襲撃をためらい延期するといった行動を繰り返しています
これは斎藤容疑者に十分な見当識があり、状況判断ができていた証です
本当に精神疾患ならば周囲の状況など考慮せず、通行人に襲いかかっていたでしょう
当然、裁判ともなれば弁護人は斎藤容疑者の責任能力を争点にし、心神耗弱による減刑を求めるわけですが
別の報道では、「殺すつもりはなかった」と斎藤容疑者が捜査員に語ったとする内容が流布されています
14人もの男女に刃物で斬りつけておいて、「殺すつもりはなかった」と言うのは随分な言い草です。憶測するならば、社会を恨み怒りをぶつけるため無差別に人を襲ってやろうとする殺意と、その結果を恐れためらう気持ちがせめぎ合い、葛藤状態にあったのかもしれません
斎藤容疑者はもともと気が小さい人間で、頭の中で無差別殺人を思い描いてはいても実行に踏み切る決断がなかなかできなかったように、己の手で人の命を奪うことには強い抵抗があったとも考えられます
だからといって、斎藤容疑者の罪が消えるものではありません
死者が出なかったのはあくまでも偶然であり、不幸中の幸いにすぎなかったからです
数名の死者が出ていても不思議はない、凶悪な犯行です
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